まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 7』感想

エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 7 (MF文庫J)

エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ 7 (MF文庫J)

ストーリー
エイルン亡き後、欧州経済の疲弊と食糧生産の限界という問題を受けて、国際連合はマリスの群生地たる元アイスランドであった地、MI02目標への総攻撃を決定する。史上二回目の反攻作戦の名はオペレーション・リミットブレイク。『大太龍』『クイーンエリザベス』『バルゴティアーズ』そして『デストブルム』という単機で面制圧が可能な四機のネイバーを同時投入し、四方から総攻撃。絶対種【キング】を撃滅し、群生地を制圧する大規模作戦である。エイルンだけでなく多くの仲間を喪ったセレン。生還確率1%未満の作戦へと、彼女はある期待を胸に、一人進撃を開始する。少女の願いは戦場に奇跡を呼ぶのか!? 新世代ロボットライトノベル第7弾!

主人公が消滅して1年。残された者たちによる人類の命運を懸けた一大作戦の顛末を描く。
毎回たいへんな熱量で圧倒させてくれるシリーズだけれど、今回ばかりはもう本当にまいった。最高以外の言葉がない。
悲劇、からの逆転、さらに訪れる恐怖と絶望、少女の魂の願い。そしてヒーローは再び舞い降りる。間違いなくシリーズ最高潮の熱さ。シビれました。こんなのずるいよ。


マリスたちの親玉にして絶対種の【キング】を打ち倒すため、各国の連合軍により発動されたオペレーション・リミットブレイク。
最初からネイバーを4機投入しての総攻撃。その中に我らがデストブルムと、ネイバーフッド・セレンの姿もありました。
夏樹を失い、氷室義塾という居場所と仲間たちも失い、ただ心の中の虚無感のままに、まるで死に場所を探すかのように戦い続けるセレン。あの、人一倍繊細で愛情深かった少女の変わりように、胸が詰まります。
圧倒的面制圧力を誇るデストブルムやバルゴ・ティアーズ。しかしそれらのネイバーを持ってしても、この作戦は無謀に過ぎました。
あまりに強大なキング。刻一刻と迫る終焉の時。悲劇的な現場の状況とは裏腹に、政治的判断というやつが各国トップの間で交わされる。胸くそ悪い。ふざけんじゃない。その沸々とした思いを、茜が全部代弁してくれました。カッコいいよ、茜。僕は君が大好きです。


茜の思いが救いを呼ぶ。元氷室義塾が、テンナンバーが、【エイルンコード】として再び戦場に立つ。
文字通り「規格外」の戦いぶりを見せる、葵や紫貴や茜、日向に月下に飛鳥、果ては大和、水久那、アギトまで。もちろんスター小隊3人組や柔呉も。
引き離されたかつての仲間たちが、ここ一番の戦場で揃い、その真価を発揮する。そんなの、燃えないわけがないんですよ。
そしてセレン。全てを失ってただ戦うだけの機構と化していた少女は、再び戦う意味を見出す。それは大切な仲間を守るために。誰よりも弱い女の子が、誰よりも強い勇気を持って。これまでのセレンが悲しすぎただけに、一歩踏み出した彼女の姿には、さすがに涙が出そうになりました。
だからこそ、それでも届かないなんて信じたくなかった。こんなにみんな頑張ったのに。現実はどこまでも非情だった。
女の子は泣くしかなかった。

そして、ヒーローはやってくる。

いや、さすがにね。帯にも堂々と書いてあるし、それはもちろん、彼の復活は予想していたわけなんですけど。
この流れからの、その登場の格好良さたるや、もう言葉にならないくらいで、っていうかホントもうね、なんも言えんわ(感想放棄)。
これが英雄。これが主人公。ただただ圧倒的に格好良い。待ってたよ。おかえり。


ルインレーゼ
月の女神の名のもとに!!