まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

謎好き乙女と明かされる真実

謎好き乙女と明かされる真実 (新潮文庫nex)

謎好き乙女と明かされる真実 (新潮文庫nex)

ストーリー
これからも早伊原と一緒にいるために、彼女の過去を暴くことを決意した春一。
学園での謎を解きながら、次第に早伊原の隠す秘密へと近づいていく。
その頃早伊原は、春一が書いた日記を発見していて……。



謎を愛する後輩女子との学園日常ミステリー事件簿、4巻目にして完結。
今回はミステリー要素は薄めで、春一と早伊原の関係に決着をつけることがメインのストーリー。やっぱり最後はね、ここに落ち着きますよね。
お互いが誰より大切なのに、相手を騙し罠にはめ裏の裏まで調べ上げようとする、そんなふたりの間柄がとても好きなシリーズでした。


早伊原との日々を「本物」にするために、彼女が隠す過去を暴き出そうとする春一。
そんな春一に対して、意地でも過去を隠し通そうとする早伊原。
春一が密かに書いていた小説風の日記を早伊原が見つけ出して一歩リードかと思いきや、実はそれは早伊原に読ませるために春一が書いたものだったりして、一進一退の駆け引きが続きます。普通の高校生男女がやる駆け引きとはだいぶ違うけれど(笑)、スリリングでドキドキしちゃうね!
しかしなんですか、1〜3巻でやたらあのトリックを使ってくるなと思ってはいましたが、それすらも伏線だったとは。まったく見事、見事です。


この作品は、学園の生徒たちを中心として、てっきり「こんな人なんだろう」と思っていたキャラクターの本当の姿を、日常の謎を通して暴き出してきたシリーズでした。
しかしそんな中で、春一と早伊原の真実はなかなか暴かれずにきました。そして最終巻にして、ようやくその時がやってきたのです。
ある意味で、誰よりも謎多き人物たるメインヒロイン・早伊原。彼女が過去を隠す理由。春一につきまとう理由。謎を愛する理由。
そして早伊原以上に厄介な、小説の語り手・春一。彼が頑なに、日記に書こうとしなかった早伊原への思い。
ずいぶん遠回りをして、もどかしいアレコレを経て、ようやくここまでたどり着きましたか。まったく、呆れるツンデレっぷりだこと!
これで終わってしまうのは淋しいですね。最後まで読んだら、また最初から読み返さないとと思うくらい好きなシリーズになりました。再読したら、ニヤニヤ度もまた変わってくるかな。
瀬川先生にはまたぜひ日常ミステリーを! それも、早伊原くらい魅力的なヒロインが登場するやつを書いてもらいたいですね! 新作楽しみにしています。


エブリスタで読める未収録掌編&後日談も必見!