まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

響け!ユーフォニアムシリーズ 立華高校マーチングバンドへようこそ 前編

ストーリー
マーチングバンドの演奏を見て以来憧れだった立華高校吹奏楽部に入部した佐々木梓。
厳しい練習に先輩たちからの叱責と、さっそく強豪校ならではの洗礼を受ける。
努力家で完璧主義の梓は人一倍練習に打ち込み、先輩たちからも一目置かれるようになるのだが……。



『北宇治高校』の方で主人公・久美子の友人役だった梓を主人公に据えた新シリーズ。
あちらは弱小でこちらは強豪、向こうは座奏主体でこっちはマーチング主体と、北宇治とは全く異なる吹奏楽部の日々が描かれます。
ダウナー系久美子とは打って変わってナチュラル努力型の梓ちゃんが眩しすぎて直視できないよ……。


梓が入学したのは、マーチングの強豪・立華高校。
他校には真似のできない独特な振り付けで多くの人々を魅了する立華高校のマーチングは、しかしだからこそ練習も過酷極まりない!
さすが強豪校というべきか、先輩後輩や上手い下手など色んな要素が絡んだ人間関係もところどころでギスギスしていて、ちょっと心穏やかでいられない感じですね……。
それくらいにみんな、全てを吹奏楽に捧げているかのような人たちばかり。限られた高校時代の3年間を燃やし尽くすようなその情熱は、見ていて少し羨ましくも思えてきます。
当然ですが、先輩や同級生など登場人物も豊富。クセのある人物ばかりで飽きませんね。双子の西条姉妹がいい味出していて好きでした。


さて、そんな吹奏楽の魔窟に飛び込んだ梓は、当たり前のように努力をこなす、いわば努力の天才。
元々上手かったこともあり、めきめきと上達して部内でも一目置かれるようになる梓。一方でみんなに明るく振る舞う社交性や、初心者の友人・あみかに常についてあげる面倒見の良さもある。
一見して完璧人間のようにも思えますが、その内心では完璧で居続けることへの焦りがあったり、他人から頼られることで自分の価値を確認しているようでもあったり、結構な危うさを抱えた主人公でもあります。
一部の人たちは、そんな梓の脆さを見抜いていて声をかけてくるのだけれど、今上手くいっているからなかなか耳を傾けようとしない。まだ大丈夫、まだいける、などと見ていたら、不意にどこかでポキっと折れてしまいそうで少し怖いです。
後編ではマーチングのコンテストも控えているわけですが、厳しい練習の毎日の中、梓の周りでどのようなドラマが起こるのか……。心配もありつつ、続きを読めるのが楽しみですね。


立華高校のモデルの学校のマーチング、動画で見たけど本当に凄まじいな……。