まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

そのオーク、前世ヤクザにて

ストーリー
ヤクザである鬼瀬龍平の意識が覚醒した時、彼は自身がレイガスというオークの囚人になっていることに気付く。
収容所の中で乱闘事件を起こしたレイガスは、ヴィオラというスカイ・エルフの女に連れられて彼女率いる騎士団に預けられることに。
オークに差別意識を持っていたヴィオラだが、レイガスの心根の優しさに段々と惹かれるようになり……。



第8回GA文庫大賞<優秀賞>受賞作品。
伝説的な強さを誇った元ヤクザがファンタジー世界のオークに転生!
いやちょっと、このオークさんカッコ良すぎませんか。元ヤクザなのに面倒見がよく、無骨だけれど心優しい主人公が実に魅力的でした。
これはエルフのヒロインが惚れちゃうのも仕方ないですね! 今のところ恋愛には発展しそうにないですけど……。


目が覚めたらなぜかファンタジー世界でオークの囚人・レイガスになっていた元ヤクザの鬼瀬龍平。
子オークを救うために収容所内で乱闘を起こしてしまった彼は、オーク嫌いのエルフ・ヴィオラに連れられて《天翼の騎士団》の雑用係となるのです。
正直なところ、最初は「またオークか」と思ったんです。ここ最近オーク主人公をよく見る気がしますから。
でもレイガスはひと味違う。なんてったってカッコいいんだ! なんだったらキャラデザまでカッコいい。オークなのに。
元ヤクザではあれど、決して法は犯さなかったという龍平。やたら喧嘩に強いのは確かだし、笑顔を見せるようなこともほとんどないけれど、心根はまっすぐで人当たりも悪くないし、年下の女の子たちの面倒をよく見てあげるし、料理や掃除といった家事まで上手い。なんてハイスペックな主人公なんだ。オークなのに。


レイガスが入った天翼の騎士団は、団長のヴィオラをはじめ、全員が女性という女騎士団。
当然オークへの警戒も初めは甚だしかったのですが、レイガスの人柄……いやオーク柄……のおかげか、案外あっさりと打ち解けてしまいます。
特に小さな女の子たちから大人気だったのが印象的です。幼女と戯れる巨大なオーク。絵面的にはかなり危険な臭いがしますけど、微笑ましくもありますね。
とある過去からオークに対して強い忌避感を持っていたヴィオラでさえ、次第にレイガスに心惹かれるようになっていくのです。オークなのにモテモテだな! でもモテるのもわかる!
なかなかに凄惨だった龍平のヤクザ時代。守りたいものを守れなかった彼が、世界と姿を変えて、今度こそ守りぬく。
そんな元ヤクザなオークの格好良さがとにかく光る1冊でした。今のところ、ヴィオラはともかくレイガスの方には恋愛の気配などはないようだけれど、そのあたりこれからどうなっていくか。今後の展開が楽しみですね。


イラストは兎塚エイジさん。いつもながらファンタジーに映えるイラストの数々ありがとうございます!
繰り返しになるけれど、レイガスのキャラデザがほんとにカッコいいのだ。


ルーペちゃんを全力で推していきたい。