まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

我が驍勇にふるえよ天地 ―アレクシス帝国興隆記―

ストーリー
天下無双を誇る武勇を誇りながら、帝国の貴族たちから「雑種」と蔑まれる皇子レオナート。
敵国の軍勢と貴族の陰謀によって恩師と故郷を失ったレオナートは、故郷の奪還を志し兵を挙げる。
親友・アランの領地に危機が迫っていることを知り、加勢に駆けつけるレオナートだが……。



天下無双の将でありながら貴族どもから蔑まれている主人公が腐敗した帝国を叩きなおしていくファンタジー戦記!
いやあ熱いね! また熱い戦記シリーズが登場してしまったではないか!
屑貴族どもが欲望のままに差し向けてくる軍勢を、主人公の武勇と軍師であるヒロインの智謀で蹴散らしていく爽快感たるや素晴らしかったです。


帝国の第八皇子レオナートは、平民の母から生まれたために周囲から「雑種」と侮られ蔑まれている主人公。
そんな彼を拾い上げて自らの領地・アレクシス州にに匿い、戦のやり方を教えてくれたのが恩師であり叔母のロザリア。……しかし彼女は、その存在を邪魔に思った大貴族たちの陰謀により命を落とし、領地は敵国に奪われてしまいます。
第二の故郷であるアレクシス州の奪還を心に決めたレオナートは、同じくロザリアの弟子である軍師シェーラと、領地にいた頃から信頼を置く強力な騎士団とともに、帝国中を駆け巡り匪賊を打ち倒して回る生活を始めるのでした。
とにかく展開が熱い! まだ1巻目なのにいくつもの戦があり、出会いがあり、ピンチがあり、逆転劇がある、盛りだくさんな1冊に仕上がっています。
帝国貴族のほぼ全てが敵という状況で、ただひとり英雄として、道化として、魔王として、次々に姿を変えながら無双しまくるレオナートとシェーラのコンビが最高に決まってました。


巻頭に帝国の地図が載っているのですが、文字通り地図の端から端までを戦場にして駆け抜けたレオナートたち。
敵は民を脅かす匪賊であったり、親友の領地を陥れようとする貴族であったり、反乱を起こした銀山の住民たちであったり、そして帝国きっての大貴族や兄皇子であったり。
他の者が討伐しようとしてできなかった戦。彼我の戦力差が格段に大きな戦。どれもこれも簡単な戦いではありません。
しかしそこで便りになるのが軍師シェーラ! 美少女の外見に似合わず、相手の心理を読んでその裏をかきまくり、ときには味方まで上手く騙してみせる計略の数々に思わず見惚れます。
普段の本人は全く軍師らしくなくて、鈍感なレオナートに一途な想いを向け続ける実に可愛らしいヒロインだったりするから、このギャップにやられちゃうんですよね。まあ、肝心の相手には全く届いていないわけなんですけど……。
また当然ながら、戦は将と軍師だけではできません。頼りになる副官のバウマンや、若き領主にして親友のアラン、新たな仲間として加わるガライにティキ、そして愛馬ザンザスなど、魅力的な仲間たちがたくさん登場してきました。
着実に業績を積み、目的へ向かってぐいぐい進んでいくレオナートたち。しかし領地は未だ奪い返せず、腐敗しきった帝国内にも敵はいくらでも残っています。
これから彼らがどのように戦い、どのような未来を迎えていくのか。今後の展開から目が離せません。


イラストは卵の黄身さん。格好良さと可愛さの同居した魅力的なイラストですね。
口絵の見開きは迫力があって素晴らしい。


トラーメさんが結構好き。