まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

絶対にラブコメしてはいけない学園生活24時

絶対にラブコメしてはいけない学園生活24時 (講談社ラノベ文庫)

絶対にラブコメしてはいけない学園生活24時 (講談社ラノベ文庫)

ストーリー
ずっと気になっていた風紀委員の女子・佐倉凛音から謎のゲームソフトを預かった鈴瀬。
それは現実世界の同級生たちを使った恋愛シミュレーションゲームだった。
ゲームの世界に入ってしまったみんなを現実世界に返すため、ヒロインの同級生たち全員を攻略すべく必死でプレイする鈴瀬だったが……。



謎のVRギャルゲーに閉じ込められた主人公が、現実世界の同級生であるヒロインたちを次々と攻略していくラブコメディ。
完全にタイトルに一本釣りされました(笑)が、楽しかったです。この1冊でなんと5人のヒロインの攻略ルートが味わえるぞ、なんておいしい仕様なの!
1章につき1人を攻略していくという単純な構造に見えて、伏線回収なんかもしっかりしており、さすがの力量を感じさせてくれました。


クラス一の美少女・佐倉から、生徒から没収したという謎のDVDディスクを受け取った主人公・鈴瀬。
それはなんと、鈴瀬の知る実在の女の子や女性がヒロインとして登場するVRギャルゲーだったのです!
いやあ、いいですね。実際夢じゃないですか、実在の女の子を落としていくギャルゲーって。女性作家さんなのに男の欲望がよく分かっているなあ! もっともあとがきを見るに、作者もだいぶ我々寄りの思考をされているようですが……。
各章ごとにヒロイン1人。合計5人。だから各ヒロインに割かれているページ数も、イベントの数もそれほど多くはないけれど、これだけヒロインがさくさくデレてくれるとこれはこれで爽快感があっていいですね。ギャルゲーなんだもの、ヒロインはチョロすぎるくらいが可愛いのだ!


登場ヒロインは、なぜか鈴瀬の妹になっていた佐倉を筆頭に、美術部の葉山部長、養護教諭の水城先生、スポーツ少女の桐野、謎の転校生の枡田の5人。
ポイントは、彼女たちもゲームプレイヤーであって、ヒロインの中に実際の女の子たちの意識があるということです。
今まで名前だけは知っていてもお近づきになれなかった女の子や、挙句には先生まで、色んなタイプのヒロインが揃っているわけですが……。
攻略に成功したあと、ヒロインがログアウトする寸前の数分間だけの、彼女たちの行動制限が解かれる時間。そこで明かされるヒロインたちの本音にニヤニヤさせてもらいました。
ゲームのヒロインを攻略しつつ、しっかり「中の人」もひとりずつ攻略していくとか、鈴瀬さんはなかなかのやり手ですわ。そもそも、ゲームを始める前からこいつは勝ち組が確定していたしね……(血の涙を流しながら)。
なお個人的には断然枡田さんが好みです! 絵に描いたようなクラシカルツンデレですが、そこがいいんだぜ!
基本はヒロイン陣とのイチャイチャを楽しむラブコメでありながら、ゲームの時間&セーブ制限といったドキドキ要素や、ゲームの制作者と主人公の親友役に関する謎解き要素などもあって、飽きずに読ませてくれました。おそらく1巻完結だろうとは思いますが、次回作を楽しみにしています。


イラストは竹井正樹さん。いやいや、とんでもない人選だな!!
少々時代を感じさせるこの絵柄、なんとも言えず味わい深くてよかったです。


ギャルゲー内水城先生の設定、ちょっとイタすぎでは……?(でもそこが好き)