まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

デボネア・リアル・エステート 傭兵は剣を抜き、ハイエルフは土地を転がす。

ストーリー
かつて伝説の傭兵【双剣の餓狼】と呼ばれながら、呪いによって少年の姿に戻されてしまい、仕事も宿も金も失ったルーウィン。
ボロボロの求人広告を頼って訪れたのは、エルフの少女が営む不動産屋だった。
しかし彼女は、可愛い見た目とは裏腹にガラも態度も悪い性悪エルフで……。



第8回GA文庫大賞<奨励賞>受賞作品。
土地を守護する精霊を倒すことで土地の権利を手に入れ、ガツガツ金を稼いでいく悪徳地上げ屋……いえ、あかるくただしい不動産屋稼業を描いたファンタジーバトルコメディ。
面白かったです。ツンデレハイエルフなご主人様と、呪いで子どもの姿に戻っちゃった元最強傭兵のタッグが楽しくていいですね。
このふたり、バトルの方でも最強の魔法の使い手と最強の剣士という組み合わせになっていて、なかなか見応えがありました。


最強の傭兵と言われながら、ダーク=エルフの禁忌魔法にかかり子どもの姿に戻されてしまった主人公・ルーウィン。
子どもなのでまともに職にも就けず、金もなく、ふらふらさまよう彼が辿りついたのは、伝説のハイ=エルフの少女・デボネアが営む小さな不動産屋(not地上げ屋)でした。
ファンタジー世界の不動産屋の設定が面白いですね。誰からも管理されていない土地があったら、その土地を守護する精霊を見つけて打ち倒すことでその精霊の信頼を得て、土地を自分のものにすることができる。
ハイ=エルフであるがゆえに人間離れした魔法を次々とぶっ放すデボネアと、子どもの姿とはいえ元最強傭兵のルーウィン、そしてデボネアによって魂を込められた魔法人形のココ。
そんじょそこらのパーティではとても太刀打ちできない強さを誇る3人の戦いぶりは、実に爽快で楽しかったです。


なかなかえげつないやり口で、ガッポガッポと金を稼いでいくデボネア。しかし彼女が金を集めるのには、とあるシリアスな理由があったのです。
遂に目標金額を達成し、ハイエルフの本国へと赴くデボネアとココ、おまけのルーウィン。
ところがそこで待っていたのは、まあ案の定というか、最強の敵との戦いでした。
呪いのせいで、さらに体が小さくなってしまっていたルーウィン。そんな彼の呪いを解くための、デボネアの決断……王道展開ですが、熱いじゃないですか!
表面上、ルーウィンのことを下僕下僕と罵ってばかりのデボネアですが、こうなってしまった以上、ただの主従ではいられません。このちぐはぐな最強コンビが、これからどんな活躍を見せてくれるのか。恋愛方面にも期待しつつ、続きを楽しみに待ちたいところです。


イラストは柴乃櫂人さん。カラーもモノクロも、ファンタジーによく合う絵柄ですね!
ドラゴンのイラストも見たかったので次巻以降に期待しています。


アイニャが可愛すぎるしなんというかウチにも1人ください。