まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

セブンキャストのひきこもり魔術王

ストーリー
物理法則に基づいた科学文明が、新たに構築された魔術文明によって衰退をたどった新世界。
新天地アルテナの魔都に、ルーヴル王国王女・デュセルが極秘任務を帯びて降り立った。
ダイヤモンドの魔術位階を持つデュセルだが、魔都には彼女をも凌ぐオリハルコン位階の伝説級魔術師が存在していて……。



世界最強の魔術師は一人七役! 「三種の神器」を狙って迫り来る魔術師たちと戦う近未来魔術バトルストーリー。
6人の分身を次々と操りながら裏の魔術王として君臨する主人公の戦いぶりが玉手箱のようで楽しいですね。
そしてメインヒロインがすっごいチョロい! チョロすぎてちょっと心配になっちゃうよ!


いにしえのくにに伝わるという聖遺物「三種の神器」を求めて、新天地アルテナの魔術学園へとやってきたルーヴル王国の王女・デュセル。
一般的に最高とされているダイヤモンド位階の魔術師である彼女は、当然ながら自分に勝てる魔術師などいないと信じてやってくるわけですが……。アルテナにはダイヤモンドを超える、伝説のオリハルコン位階の魔術師がいたのである! しかも7人も!
ということでそれが主人公・ブランドン率いる魔術結社『七詠唱』なんですが、魔術学園の老講師やメイド、犯罪者に幼児まで揃う彼らは、実はその全員がブランドンが作った分身。1人で7人の魔術結社なのでした。
分身といえどもそれぞれ自我(のように見えるもの)もあるし、1人の主人公で7人分の群像劇っぽさが味わえるなんて、ちょっとお得感じゃないですか。まあ、このメイド少女の中身がひきこもり残念系男子だと思うと、それはそれで妙な気分なんですけど……。


『七詠唱』の中でも魔術師としては最弱の駒である登校用分身「スケアクロウ」と出会ったデュセル。
クズ石位階のスケアクロウにいきなりそっけない態度を取っちゃって、いきなりよくない雰囲気……と思いきや、この王女様、まさかの友達いない属性で初めての友人関係にウットリ! チョロい、チョロすぎる。ワケありとはいえ王女様なのに……。
デュセルのライバル役としては、メトロポリタン合衆国の国家魔術師にして学院生徒会長のステラが出てくるのですが、三種の神器を求めて国家間でバチバチやっているわりには、本人たち同士の関係は案外穏やかで平和な感じがしました。というかまず、デュセルがスパイ活動に向いてなさすぎると思うのだ……。
さらなる他陣営からも繰り返される襲撃。いかな『七詠唱』といえども防ぎきれず、少しずつ敵の手に渡っていく神器。
しかしそれで黙っているわけがありません。。魔力探知、高火力特化、支援型特化、といった各分身たちの特長を活かして戦うブランの魔術バトルは、次に何が飛び出してくるか分からない楽しさがあり、一気に畳み掛ける終盤など、なかなか爽快感があって良かったです。
6人の中でも特に気になるのが、ブランの姉の魂を宿すという『女王』ことモリガン。ロリお姉ちゃんが7人の中でも最強とか超燃えるんですが、今回は活躍があまりなかった気もするので、次はぜひ彼女に華やかに戦ってもらいたいですね!


イラストはmmuさん。なんといっても『七詠唱』のデザインが秀逸。
地味にワイズマンが好きです。


高位の魔術師にはブラが必要ないからみんなノーブラってなんて無駄に最高な設定なんだ……。