まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

くすぐり闘士の無魔術乱舞

ストーリー
超絶くすぐり技巧によって魔術師の詠唱を妨害し、相手の戦意を喪失させる恐るべき流派“ゼットー流”。
その使い手である少年ソーヤは、生来の“魔力無し”でありながら魔術学院へと入学することに。
入学早々、ソーヤは炎魔法の使い手ルルファと対決することになるのだが……。



第17回えんため大賞<特別賞>受賞作品。
生まれつき魔力を持たない少年が、究極の「くすぐり」の技だけで魔術学院のランキングをぐいぐいと駆け上がっていく、くすぐり×魔術バトルコメディ。
「魔力無し」だからと主人公を侮る美少女たちが、次々と彼の魔手によってへにゃへにゃになっていく……これはエロではない。健全だ。しかしえっちだ……。
フェティシズムまみれのおバカな設定ながらも、くすぐりの技だけで主人公がどこまでやれるのかという熱さもあってよかったです。


魔術学院の新入生・ソーヤは、魔力を持たない少年。その代わりに彼が身につけたのは、超絶技巧の「くすぐり」の技だったのだ! なんでだよ!
出会った直後、「魔力無し」を差別するような発言をしてきたヒロイン・ルルファにカチンときて、その手腕を見せつけることになるわけですが……。
ソーヤの“ゼットー流”は実に凄まじい。相手の魔術を避けまくって、体に触ったらほぼ勝利。しかも受けてしまったら体じゅう真っ赤にして服をはだけて笑い転げる様を見られることになるのだ……なんという恐ろしい技なんだ! しかしこれ全然魔術バトルじゃないな!
ルルファは「魔術師六祖」の本家の娘で、魔術の腕にかけては新入生の中でも圧倒的な強さを誇る女の子なんですが、対戦相手が仕掛けてくるのが魔術バトルじゃないんだから、そりゃ勝てんわなという(笑)。
初登場時はだいぶ高慢で嫌な感じの子でしたけど、ソーヤに何度も挑んでは敗れるうちに少しずつ本来の彼女の良さが見えてきましたね。ソーヤの幼なじみ・メリッサも含めて、ライバルでもありつつ妙な友情で結ばれた3人の関係に胸がほっこりしました。うち2人ほど変態ですけど。


「魔術無し」でありながら学内ランクを上げていくソーヤに対し、次々にけしかけられる刺客。
刺客たちはあの手この手でゼットー流を封じるべく動いてくるわけですが、そんなことを歯牙にもかけずに、避ける、近づく、くすぐる、そして倒す。強い……。
しかしルルファの実家を敵に回した結果、最強の刺客がソーヤの前に! くすぐりへの絶対防御を誇る彼女に対し、ソーヤが見せたゼットー流奥義。それはソーヤひとりだけでは成し得ない技であって、初めて友人たちの力を借りて戦う彼の姿には、思わず熱い気持ちになりましたね。
「魔術喰い」を追うソーヤの戦いはまだ道半ば。頼りになる仲間たちとともに、これからも思う存分くすぐり倒してもらいたいです。続きが楽しみ。


イラストはもじゃりんさん。くすぐりK.O.された女の子たちの表情が凄い。
あ、ひとり女の子じゃなかったですね。ある意味一番激しかったけど……。


師匠が気になって仕方ない。