まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ラブと貪食の黒戮呪剣<コルドリクス>

ストーリー
幼い妹弟のために汚れ仕事をすることで日々の生計を立てていた盗賊のジント。
仲間のゴロツキたちと共に獲物を待ち構えていた彼は、ある日禍々しい大剣を背負った少女に出会う。
その大剣によってゴロツキたちは一掃、そしてジントの心臓の半分が食われてしまい……。


元盗賊の少年と、呪われた剣を持つ腹ペコ少女が織りなす、剣と運命のボーイ・ミーツ・ガール。
盗賊と腹ペコ女剣士というちょっと不思議な組み合わせが楽しい作品でした。
剣で斬られ、斬った者同士の間に次第に育っていく恋心にきゅんきゅんしますね!


盗賊一味の下っ端として働く主人公の少年・ジント。ある日彼は仲間の盗賊と共に、街道をやってくる1人の旅人に目をつけました。
ところが魔剣を持った彼女は圧倒的な強さで盗賊たちを次々と殺してみせ、そしてジントの心臓もひと突き……したところで、魔剣コルドリクスの力により、ジントの心臓が半分だけ「食われて」しまうことに!
半分になった心臓を元に戻す方法を探るため、腹ペコで倒れたその旅人の少女・ティラニアを一度匿ったことから、ふたりの冒険が始まるのでした。
元盗賊のチビな少年と、呪われた剣の持ち主として選ばれてしまった女騎士という、主人公とヒロインの組み合わせが面白いですね。
見た目だけではちょっとお姉さんヒロインっぽくも思えるけれど、常にお腹をすかせているティラニアはむしろ子供っぽくて、そのギャップが可愛らしい女の子でした。なんかあれですね、餌付けしたくなっちゃいますね。
ジントは元盗賊だけあっていかにもな小物臭さがあるんですが、意外と面倒見がよかったりもするし、自分の恋愛には鈍感だったりするところが初々しくて微笑ましい男の子です。
初めこそ不思議な組み合わせに思えましたが、このふたりが絡むと凄くいいんだ……!


自分が好意を持つ者を殺そうとする魔剣コルドリクス。そのせいで、何度もジントを刺しそうになってしまうティラニア。
好きだからこそ殺めてしまう、だから近くにはいられないというジレンマが悩ましい……。
でもジントは、そんな魔剣のことを恐れつつも、デーモンに連れ去られたティラニアを救おうと追いかけてしまうんですよね。しょうがないよね。「きれいだ」って思っちゃったんだものね。
魔剣がつないだ奇妙な縁ではありますが、それは奇跡的に生まれたかけがえのない絆でもありました。
この凸凹コンビが、最後には笑って一緒に暮らせるような、幸せなエンディングを迎えてくれたらいいなと思います。とりあえず次巻でも大いにニヤニヤさせてもらいたい!


イラストは人米さん。とにかくティラニアが可愛い!
彼女はイラストでも色んな表情を見せてくれましたが、どれも魅力的な表情でした。


セリカリアさんの苦労人ポジションが泣ける。