まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

イグニッション・ブラッド 暁の英雄

ストーリー
かつて吸血鬼と呼ばれた種族<至高の血族>と世界の覇権を争う人類。
対血族部隊に所属する十影は、その圧倒的な戦闘力から「暁の英雄」と称される若き剣士だった。
仲間たちの死と接し続ける戦いの日々の中、人類と至高の血族とのクォーターだという少女・ペスティと出会い……。



第28回ファンタジア大賞<銀賞>受賞作品。
地上を支配した吸血鬼<至高の血族>と生き残った人類の戦いを描く、血と絆のバトルアクション。
他の人間がドーピングを使ってやっとやっと吸血鬼たちと戦っている中、ひとり生身で敵をバサバサ斬りまくる主人公がクール!
人類と吸血鬼のクォーターのために双方から迫害されているヒロインの境遇が理不尽で切なくて、守ってあげたくなりますね。


氷河期のため地下に潜っていた人類が千年ぶりに地上へ帰ってきたとき、そこを支配していたのはかつての吸血鬼<至高の血族>たちだった!
残虐非道な至高の血族から身を守るため、人工太陽塔に守られた都市を作り上げ、寄り集まってなんとか居場所を確保した人類が、襲いくる至高の血族との戦いに明け暮れる物語です。
とはいえ、そこは吸血鬼の常……というべきか、銃弾すら避ける彼らに普通の人間ではとても太刀打ちできない。至高の血族の血から抽出したアンプルでドーピングして、やっと10分間戦える、それでも犠牲者は出続ける、そんな有様。
しかしそこへきてこの十影という主人公は、18歳にしてかつて“至高の中の至高”を倒した英雄。先祖代々の剣術だかなんだか知りませんが、その鮮烈な剣技で、ろくにアンプルも使わずに至高の血族たちを斬り捨てていく圧倒的強さ。これはもう、単純にカッコいい!
生と死の狭間で戦い抜いてきた……そんな男のわりに、妙に女慣れしていないあたりとか、可愛げもあってよかったです。ああ、これはモテますわ。しょうがない。


そんな十影が戦場で出会ったのは、人類と至高の血族とのクォーターだという少女・ペスティ。
至高の血族から“不浄の血”と呼ばれて命を狙われ、追われていた彼女。至高の血族ということ以外は心優しい女の子としか思えない彼女を匿う十影ですが、もちろん人間にその正体を明かすわけにもいかず……。
至高の血族と人類、双方の血が入っているというだけで、両方から目の敵にされる悲しい立場。
ペスティと新人戦闘員のクイン、3人で暮らす日々は十影にとっても楽しい日々だったようで、これがずっと続けばと思っていたのですが、ペスティのことがきっかけとなって終わりが訪れてしまう展開に胸が痛みます。至高の血族を恐れるのは分かるけれど、どうしてこうも頭の固い人間ばかり……。
そしてラスト、立ちふさがる強敵に死力を尽くし、3人の力を合わせて未来を作るバトルは燃えました。ペスティの存在が、人間に新たな風を吹き込んでくれればと思います。ペスティもクインも可愛いので、恋愛方面にも期待してますよ!


イラストはゆらんさん。ヒロインたちのキリッとした眉が印象的ですね。
しかしクインさんでかい。16とは思えない。


吸血シーンがエロいのはベタだけどイイよね……。