まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

異世界スーパーマーケットを経営します 〜召喚姫と店長代理〜

ストーリー
ある日、電車の中で居眠りをしてしまった勇悟が眼を覚ますと、そこは異世界だった。
彼を召喚したという領主の少女ソレイユから、地区復興のために力を貸して欲しいと求められる。
父のスーパーで店長代理をしていた経験と知識を生かし、次々と客を呼びこむ案を打ち出していく勇悟だったが……。



第17回えんため大賞<特別賞>受賞作品。
異世界の商業地区が抱えた莫大な借金を返済して地区代表の女の子を救う、経営×異世界召喚ファンタジー。
商人たちの接客態度、商品陳列から地区の雰囲気作り、新商品開発に至るまで工夫を凝らして、閑古鳥が鳴く商業地区に活気をもたらしていくストーリーにワクワク。
有能ではあるけれど何かと詰めの甘い主人公と、彼を要所で支えるヒロインという関係がよかったですね。


父が経営するスーパーで店長代理として働いていたものの、ちょっとしたことで家を飛び出し、そしてそのまま異世界へとやってきてしまった主人公・勇悟。
彼を召喚したのは、商人の国グランマート王国でシャルール地区の代表を務めている少女・ソレイユでした。
地区からは客足が遠のき、道端の商店にも人影はなく、地区全体で莫大な借金を抱えた結果、他の地区に強制併合されそうになっているというシャルール地区。
しかも、その地区の代表とソレイユが結婚までさせられてしまうとあれば、もちろん男の子としては、ここで格好つけないでどこで格好つけるのか! といったところです。
勇悟は浪人生だし、13歳のソレイユとは結構な年の差がありますけど、ここまできたらそんなの関係ないですね! なんてったってソレイユちゃんは可愛いし、そんな彼女がムカつく野郎の嫁になるなんて、絶対に許せないのだ!


タイトルに反してだいぶ規模の大きい話になってきましたが、まずは小さなことからコツコツと。
内気な地区の商人たちの意識改革に始まり、店の見栄えをよくしたり、商品の仕入れで工夫したり。そして何よりも、勇悟が持つ最大の武器は現代日本の知識。この世界になかった調味料やお惣菜を開発し、どんどん地区を盛り上げていく!
妙な妨害を受けつつも、国を挙げてのお祭り・グランフェスティバルで、一発逆転を狙う展開に燃えます。
ただ、いかに勇悟に経験があるといっても、やはりまだ未熟な少年。ところどころでミスがあったり、計算違いの事態も発生しまうのですが、そこで颯爽と助けに入るソレイユや騎士エリスが素敵でした。
シャルール地区のさらなる発展のため、次に勇悟たちがどんな手に打って出るのか、続きが楽しみですね。ソレイユやエリスとの恋愛方面にも期待しちゃいます。


イラストはなかばやし黎明さん。ソレイユさん、見せ場ですごいオーラ出てますわ……。
ラストのエリスがやたら可愛くてずるい。


ラビアのなんともいえぬ小物感!