まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

じっと見つめる君は堕天使

じっと見つめる君は堕天使 (角川スニーカー文庫)

じっと見つめる君は堕天使 (角川スニーカー文庫)

ストーリー
高校生・荒波浩之の部屋に、天井をぶち抜いて現れた美少女サラサ。
やる気のないジト目な彼女は、天使学院卒業試験の追試で人間界に送られた天人界の住人だった。
人間界で契約者を幸せに導くことが試験の内容なのだが、サラサ本人にはまったくその気がなく、ぐうたらに日々を過ごすばかりで……。



第20回スニーカー大賞<特別賞>受賞作品。
自堕落すぎて人間界で追試を受けるハメになったダメ天使と、まっすぐな熱血少年のボーイミーツガール。
何をおいてもヒロイン・サラサが魅力的でした。セリフがいちいち捻ってあって、何気ない会話でもクスッとできていいですね。
一方、初めの自堕落さのわりに、表に出たり学校に行きはじめたり、随分あっさりと成長してしまった感も。もう少しぐだぐだやってほしかったようにも思うけれど、まあ構成上仕方ないかな……。ジト目の奥に隠れた本音を見せて泣きじゃくるサラサも可愛かったので、これはこれでよし!


あまりにぐうたらすぎて天使学院を卒業できず、追試と称して人間界へと落とされたジト目な自堕落天使・サラサ。
そんな彼女が偶然落っこちてきた部屋に偶然住んでいた少年・浩之と出会い、彼の部屋に居候しながら、少しずつ外に出て、学校へ行って、友達を作って、とゆったり成長していく……そんなほのぼのコメディでした。
このサラサという女の子ですが、見た目は完璧美少女(スタイル以外)(でも私はこの体型も好きだ)なのだけれど、やる気のなさが顕著に現れたジト目が全てをぶち壊しにしている、そんなヒロインです。
追試に合格する気も特になく、家から出るでもなく、ただ寝て起きて食ってアニメを見てはまた寝る、といった日々の繰り返し。
ぐうたら引きこもりといっても別に人嫌いなわけではなくて、話は面白いし、ちょいちょいソッチ系の話でからかってくるところも素敵だし、個人的には全力で一生養ってあげたい! と思っちゃうのですが、そんな彼女を見て表に連れていこう、自堕落を矯正しよう、と考えるあたり、浩之は主人公らしい主人公ですね。


浩之の手で外に連れだされて、てっきり嫌がるのかと思いきや、目を輝かせて街を楽しむサラサの姿があってかなり意外でした。
浩之の友人たちともすぐに打ち解けたし、学校にまで自主的に行きはじめるし、実は初めからそれほどぐうたらではなかったのかもしれません。ただ機会がなかっただけでね。
もちろん、かといって全力で天使を目指したり、働こうとしたりはしないあたりが彼女らしいところでもあり……。
だからこそ、新しくできた友達が苦しんでいるとき、サラサが自分から動こうとしてくれたのには胸がほっこりしました。
いつもジト目だし、人をおちょくったようなセリフばかりだし、なかなか本当の気持ちは見せてくれないけれど……。時々見せる、淋しがり屋で甘えたがりで友達思いなところには思わずぐっときてしまうし、浩之のように、彼女を守ってあげたくなる。最初から最後まで、彼女の魅力が引き立っていた1冊だったと思います。
これからは、サラサの天使アイテムを使いながらのドタバタ日常劇になるのかな? 恋愛方面なんかにも期待していますよ!


イラストはR_りんごさん。ジト目LOVEとしか言いようがない素晴らしい表紙!
ジト目無表情のサラサも、気持ちを思い切り表情に出したサラサも、どちらも可愛さ満点でした。


孔明周瑜のくだりがバカバカしくて凄く好き。