まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

成り上がり英雄譚 屑星皇子の戦詩3

成り上がり英雄譚 屑星皇子の戦詩3 (HJ文庫)

成り上がり英雄譚 屑星皇子の戦詩3 (HJ文庫)

ストーリー
出稼ぎ先であるバルゼイア連合にて、反乱軍との会戦を控えていたラウル。
その最中、留守を任せていたルシエたちのもとに、星神教会が派遣した大軍勢が迫っているとの報告が入る。
ラウルはリハルトと五千の兵を援軍に送り、自らはバルゼイアでの戦闘に参加するのだが……。



夫が出稼ぎ先で腹黒く暗躍する一方、妻は献身的に本拠地を護り抜く凸凹夫婦戦記ファンタジー第3弾。
優男風のくせにずいぶんとあくどいラウルと、信じた夫のためにまっすぐに働くルシエが対照的な巻でした。
ラウルがいない中でも窮地を脱する策を思いつくなど、ルシエの活躍が光っていましたね!


アゼルキアへの援軍はリハルトに任せ、自分はバルゼイアで「上手く反乱軍を勝たせること」を目指して戦う腹黒皇子ラウル。
うーん、なんというか、だんだんラウルが魅力的に思えなくなってきました……。ワウルフの軍に参加していながら、反乱軍側の勝ちを狙って動くとか、ちょっと人としてどうなんでしょうかと。
もちろんラウルの野望のためには、トラファルドが勝つのが一番なのは理解できるんですけど、ワウルフも悪いやつではなかっただけに、心情的にどうもねえ。
仮にも妻であるルシエへの扱いも常々疑問に思っていたし、夢や、それを叶えるための能力は立派だけれど、どうもラウルは人格面というか、他人の気持ちを考えることについてはまだ成長の余地があるように見えました。


一方、放任主義の夫から留守を任された新妻ルシエは、夫への恨み節を我慢しつつせっせと労働。純粋すぎて涙が出てきそう。
しかしてっきり、バルゼイアでの戦いを終えたラウルが帰ってきて教会軍と戦うもんだとばかり思っていたので、ルシエとバルカだけでこの大軍と立ち向かうことになったのには驚きました。
いきなりの侵攻にすぐには対抗策が打ち出せず、しばらくは民を逃がすために時間稼ぎの戦いをするしかない苦しい展開。
悲しみの向こうで、改めて英雄の妻としての決意、覚悟を決め、自ら立ち上がる姿はとても格好良かったです。
それにしても、意外とルシエとバルカはいいコンビでしたね! リハルトの援軍や、ラウルの手紙での献策もあったとはいえ、アゼルキアを守ったのは紛れもなくこのコンビです。
今回の決め手となった作戦といい、ルシエはまったく、危なっかしくて見ていられない女の子ですが……。全てはラウルを想ってやったこと。正直男の趣味は悪いなと思うけれど、報われてくれるといいなあ。
さて、ラウルの野望はまだまだ道半ばですし、ようやくルシエとも夫婦らしくなってくれるかな、と期待が持てる……ようなそうでないような? というところですので、続きがぜひ読みたいのです! 頼むー! 続いてくれー!


コーデリアちゃんの再登場にも期待しているのだ。