まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

夜桜ヴァンパネルラ2

ストーリー
《吸血種》を狩るもうひとつの組織・浄血官。
法を無視して無慈悲な駆除を続ける彼らと、あくまで法を遵守する捜査九課とは激しく対立していた。
そんな折、浄血官が拉致・殺害される事件が発生し、恋人を殺されて復讐に燃える女吸血種の存在が浮かび上がってくる……。



吸血種の極秘研究機関「白楼」を巡る陰謀と、ある女性による浄血官への復讐劇、その交錯を描いたヴァンパイア×警察×アクション第2弾。
今回も今回とて、孤独に突っ走る倫子を何も分かっていない紅朗がそのバカまっすぐさで救う、名&迷コンビぶりが光るストーリーでした。
吸血種の世界の闇が深すぎて重くなりすぎちゃいそうなところ、ひとりでアホやってバランスを取っている紅朗って実は凄い主人公なのでは……?


前回の事件の中でまだ解決されていない、いくつかの謎。そのヒントを求めに、倫子と紅朗は吸血種のみが立ち入りを許される研究機関「白楼」へ。
拘置所の地下深くに広がる吸血種の楽園……のように見えて、その実非情な研究を繰り返す最古の真祖。こんな場所が、世間から隠されつつ存在しているあたり、吸血種の闇はまだまだ奥が深いことを感じさせられます。
それにしても紅朗は無駄にコミュ力が高いですね! 本当なら吸血種しか入れないはずの場所にも迎え入れられて、吸血種の子どもたちからもこんな歓迎を受けちゃうのは、たぶんひとえに彼の人格の為せる技なんでしょうね。本人は何も考えてないんでしょうけど。
そんな彼は、九課を初めとする警察全体から疎まれている特防局の浄血官・志津谷とも急接近。
いやあ、刀ひとつで人狼化した吸血種と単身で立ち会うのは確かに凄いし格好良いんだけれど、警察側との確執とかそういうのを丸っと無視して志津谷に弟子入りしちゃう紅朗さんはもっと凄いや……。


一方の倫子は、相変わらず自分を警察官だとは思っておらず、せっかく一課の刑事たちが協力してくれようとしても、ひとりでやるといってはねのけてしまう姿が目につきました。
吸血種だけのネットワークというものもあるし、人間である彼らとは距離を置こうとする気持ちも分かるんですが、やっぱりもどかしく感じちゃいますね。
そんな彼女の単独行動主義が、大切な「娘」となった梨紗の危機を呼び込んでしまいました。いやこれは、梨紗の方にも問題があったというか、この「親」にしてこの「娘」ありというか……。ひとりで突っ走るのがそんなに好きか!
今回の事件を通して、自分がひとりだけではないということに改めて気付くことができた、かな? もちろん、一番近くにいるのは、いつも隣で天然漫才をやっている相方です。
凸凹ながら、間違いなく名コンビになりつつあるふたり。次巻ではどのような活躍を見せてくれるのか、楽しみで仕方ありません。


上司の下着事情も欠かさずチェックする有能な部下。