まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

俺と魔物の異世界レストラン

ストーリー
魔王の治める街にある、魔物のためのレストラン「フォリオーズ」。
この店で唯一の人間スタッフとして働くアーウィンには、いつか自分の店を持つ夢があった。
ある日、客の少なさを嘆く店長に対して、ビラ配りを提案するアーウィンだったが……。



第11回MF文庫Jライトノベル新人賞<審査員特別賞>受賞作品。魔物の魔物による魔物のためのレストランで唯一人間として働く主人公の頑張りを描いたレストラン×ファンタジー。
客はもちろん、ウエイトレスも、シェフも、店長も、それどころかレジスターや冷蔵庫の中身、食材に至るまで、全部が魔物という魔物づくしのレストランが楽しいですね。
吸血鬼のヒロインは可愛らしいし、店の存続を懸けたヤクザとの勝負とか、定番ですが燃える展開でよかったです。


魔物と人間の戦争が終わって10年。「人間就労制度」によって魔界で働くことが可能になり、人間界からレストランで働くためにやってきた主人公のアーウィン
彼が勤めるのは、店長と看板娘が吸血鬼、料理長リザードマン、助手のコロボックル達、レジスターはなんとミミック……という風に、バラエティ豊かな魔物たちが営むレストラン「フォリオーズ」。
周りに人間は彼ひとりだけ、もちろんお客様も魔物ばかり、という中で、人間と魔物のギャップに頭を悩ませながらもドタバタと働く姿がとても楽しかったです。
もちろん飲食店ですから、人間界と同じようにクレームやイザコザも次々起こります。そんな問題の数々に、人間のやり方と、魔物のやり方と、両方から解決案を導き出していくのが、人間と魔物が一緒に働くフォリオーズならではという感じでほっこりしてきますね。
ヒロインは店長の娘にして看板娘のリーネ。吸血鬼なんですが、ことあるごとにアーウィンの血を吸いたがり、何かの機会に吸っては恍惚とする姿がエロ可愛かったです。店員としては不器用で、まだまだ慣れていない子なので、優しく成長を見守りたいところ。


アルバイト志望のダークエルフに命を狙われたりなどということもありつつ、最後に敵に回ったのはやっぱり人間でした。
やり手のエリート不動産屋である彼と、彼に雇われたヤクザな魔物たちによる嫌がらせの数々、そしてヤクザの組長まで引っ張りだしての、土地の権利を懸けた一発勝負。
かつての魔物同士なら、戦うことで決着するような場面かもしれません。でも彼らは、今ではレストランの店員です。
レストランとして、このピンチにできることは何か。それはもちろん、精一杯お客様を呼び込んで、精一杯おもてなしをすること。
ここまできたら人間も魔物もありません。店員たちが一致団結しての協力体制に、胸が熱くなりました。
さて、このお店が軌道に乗るには、もう少し時間がかかりそうですね。みんなから認められつつあるアーウィンが、次はどんな工夫でフォリオーズを盛り立てていくのか、楽しみにしています。


イラストはSyrohさん。リーラの牙(八重歯ではない)が可愛い。
作中では貧乳キャラだったけど、十分大きいよね……マチルダさんと比べると、まあ、なんですが。


氷龍王のおじいちゃん萌え。