まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件8

ストーリー
子供たちに胸を張れるような立派な大人になるため、グリンダを残し、エーレンを去ったシャール。
ウィストリアで何とか大学に合格したシャールだが、住んでいるアパートへことあるごとに聖羅が押しかけてくるように。
月日が経って成長しても、シャールを想う聖羅の気持ちは変わらないままで……。



教え子のお姫様と紡ぐ家庭教師ファンタジーラブコメディ、堂々の最終巻。
はああああ。もうため息しか出ませんね。聖羅ではないけれど、こんなにも足をぱたぱたさせながら読んだ本はかつてなかったかもしれません。最高でした……ただありがとうと言いたい……。
だんだんと成長していく聖羅と、彼女に対するシャールの心の揺らめきに、ムズムズ、ドキドキ、ニヤニヤさせられてばかりでした。


聖羅が十歳のときにエーレンを去ったシャール。そして今回出てきた聖羅は、いきなり十二歳に!
それを皮切りに、十四歳と十五歳、十六歳、そして十七歳の聖羅との、素敵なエピソードの数々が語られました。
彼女が成長するというのはもちろん予想していたのですが、最終巻がこんなにも聖羅でいっぱいの1冊になるなんて! ここは天国かな。
もちろん聖羅とシャールだけではなくて、ハールーンとミリーや、竜樹王子とポーラローズ姫、ギルマーにヘルムート、アニスといったキャラクターたちも登場し、成長したり、変わったり、恋をしたりする姿を見せてくれました。
竜樹王子とポーラローズ姫、ギルマーとリリアナのカップルは、それぞれとても幸せそうで、ほっこりしてきちゃいます。そしてアニスも……恋がいっぱいだ。


九歳のときからずっと、シャールへ「好き」と言い続けてきた聖羅。
十二歳になっても、十四歳になっても言い続けているのだけれど、あくまで教え子だからと、全くなびかないシャールにはやきもきしました。
あげく、十六歳の聖羅に対して「思慕と取り違えるような恋ではなくて」「ちゃんとした恋をしてほしい」なんて言ってしまって、聖羅はショックでエーレンに帰ってしまって、もうなんてことを言うんだ! 聖羅はこんなに一途に想い続けているのに! なんて思ったりもしましたけれど……。
変わらないように見えたものでも、いつの間にか変わっていたということもあるのですね。
十六歳の聖羅は、本当に魅力的でした。心に余裕ができてから、さらに何倍も魅力的になりました。こんな女の子から、こんな風に気持ちを告げられて、落ちない男がいるでしょうか。
そこから先は、特に語るまでもありません。ただ心から言いたいだけです。おめでとう。
完璧なラブコメディを読んでしまいました。あまりの幸福感に何もできなくて、読んですぐ横になったのですが、まだ胸がいっぱいで、しばらく読書も手に付きそうにありません。
あとがきで、「一番お気に入り」と野村先生が書いていましたが、作者にこれだけ愛されて、これだけ素晴らしいラストを迎えることができて、最高に幸せな作品だなと、いち読者として思います。
何度も読み返すくらい本当に大好きなシリーズで、聖羅は本当に大好きなヒロインでした。出逢えてよかったです。ありがとうございました。


更紗と織絵にも、グリンダにも、素敵な恋が訪れますように。