まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

黒鋼の魔紋修復士13

ストーリー
ディヤウスとしての己の出自を知った上で、その手でメルディエトを葬ったディー。
一方、カリンと決着をつけたいと願うダンテと、ルオーマへ直接攻撃をかける用意を整えたオルヴィエトとルキウスは、ユールローグを出立する。
それぞれの相手を迎え撃つべく、カリン、シャキーラ、そしてディーとヴァレリアは最後の戦いへ挑む……。



世間知らずの神巫の少女と、彼女についた専属紋章官の少年の魔法バトルファンタジー、13巻にして完結。
最終巻を前についにくっついたヴァレリアとディミタールですが……いやはや、このふたりが、こんな風に肩を並べてルキウスと戦うようになったのか、と感慨深いですね。
カリンやシャキーラも、各々の因縁の相手と熱い戦いを繰り広げてくれたのですが、何と言っても一番予想外の結末を見せてくれたのはベッチーナではないでしょうか!


神人=ディヤウスの血を引きながらも、オルヴィエトやルキウスではなく、ヴァレリアに付くことを決めたディミタール。
10巻以上かけてようやく想いを伝え合ったふたりは、反動のようにベタベタしまくり! 特にヴァレリアの方が甘えまくって、ディミタールも満更でもない感じでデレッデレで、あんたら本当にあの喧嘩ばっかりしてた主従と同一人物かと疑いたくなってくるくらい。
ヴァレリアは周りからその関係を隠しているつもりなんだけれど、実際にシャキーラや国王たちから見たら一目瞭然だってのがまたニヤニヤさせてくれます。
まあね、神巫がレドゥントラの妻だっていう建前も、こうなってしまえばあってないようなもんですからね、公然の秘密として愛を囁きあっちゃえばいいと思います。


カリンとダンテ。オルヴィエトとシャキーラ。そしてヴァレリア&ディミタールとルキウス。
敵味方問わず主要人物同士の因縁の対決が連続して、物語終盤のテンションは爆上げ。
特にディヤウスであるオルヴィエトとルキウスは、数十人の小勢でルオーマに襲撃をかけてくるような超火力の持ち主。しかもあのシャキーラが一度は負けている……となれば、雪辱に燃えるのも当然というものです。
また、ヴァレリアとディミタールの、ルキウスと、そしてラスボスとのバトルは、真にふたりの力を合わせての戦いでした。どちらが欠けてもだめ。うむ……愛ですね。
ひとまず大陸の危機は脱したわけですが、アーマッドと周辺諸国との問題はまだ続きます。ハイデロータにはシジュベールとクロチルドがいるし、ユールローグにはシリルもラムピトーも、ネレイダも残っています。ビゲロウのギャラリナだって、ヴァレリアたちとは因縁の深い相手です。
その全てを解決するまでは描かず、この物語は終わります。ひとつの国が、問題全部を綺麗に片付けられるわけもありませんから、まあ自然というところでしょう。今後のヴァレリアやカリンの活躍に思いを馳せつつ、お別れを告げることにいたします。
それにしても、まるで予想がつかなかったのがベッチーナのエンディングですよ! 元々好きなキャラクターではありましたが、まさかあのガチャピンクがこうなるなんて、1巻のときには露ほども想像していませんでしたよ!
最後にイラストで「中身」を見せてくれたのは、ここまで読んだ読者へのとびっきりのプレゼントでした。ありがとうございました。


えっ、カリンってそういう趣味だったの……。