まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ひとつ海のパラスアテナ3

ひとつ海のパラスアテナ (3) (電撃文庫)

ひとつ海のパラスアテナ (3) (電撃文庫)

ストーリー
海獣『カリブディス』によって突如水底へ沈没した《セジング》フロート。
しかし《セジング》の住民たちは、シェルターに身を潜め、全員無事に生還を果たす。
住民たちが《イロゥ》へ避難する中、アキはオルカが失ったシャチのぬいぐるみを探し出すためにひとりで残ると言い張り……。



今度のアキの冒険は海の中! 広い海上とはまた別の怖さを秘める暗黒にゾワッとさせれらます。
しかしこのアキという子は、ひとりだと本当にロクでもないことばかりしでかしてくれるな!
主人公としては相当なダメっ子だと思うんですが、そんなダメっぷりが周囲の人を惹きつける理由かもしれませんね。


一瞬にして海の底へと沈んでしまった《セジング》。しかし海の人々はたくましかった。前巻での絶望を返せってくらいにみんな生き生きしていて、気が抜けてしまいました。
みんなが避難を始める一方、自分も何か役に立ちたいというワガママから、オルカの失せ物探しのためにひとりで残ると言い張るアキ。
まあその志は買いますけど、それで結局遭難しかかっているんだから笑えません。よくもまあ毎回毎回、飽きもせずに死にかけられるもんだな!
やっぱりアキには、タカとオルカが一緒にいてやらないとダメみたいです。アキ自身も、そろそろ「ひとりでできるもん」をやめて、認めるべきだと思うんですが。
ただ、今回のアキの孤独は、今までのものとは少し毛色が違いましたね。誰かと一緒にいることを知ってしまったために、ひとりでいるときにより一層の孤独を感じる、人という生き物。
なかなか難儀なものですが、アキにもそうやって心を支えあう仲間ができてきたことは喜ばしい。キーちゃんもどこかで笑っているのではないでしょうか。


「高さ」のある海の中は、横に広い海の上とは別世界。素潜りで何十メートルもスイスイと潜ってしまうアフターの人々も、一歩間違えれば命を落とす危険な場所。
暗い暗い海の底を、手がかりもなく探しまわる地道な作業に気が遠くなりそうですが、なんだかんだで目標を達成してしまえるのが、アキのアキたる所以かもしれません。
そしてまたアキの隣に女の子が増えました! スカベンジャーとして活動していたシュマリは、言葉は少ないけれどそっと寄り添ってくれるような人で、タカともオルカとも違うタイプですね。アキを愛でていることには変わりないんですけど。
順調にパラスアテナ・ハレムを構築しつつあるアキですが、果たしていつまで続くことやら。ようやく《シキバ》に向かう目処も立ったことですし、次は遭難せずに済むといいのですが……。


ドリル氏がある意味一番謎だ。