まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

GOSICK RED

ストーリー
1930年初頭のニューヨークにて、探偵事務所<グレイウルフ探偵社>を構えるヴィクトリカ
ある日、闇社会からの依頼人がヴィクトリカを訪れ、奇怪な連続殺人の解決を依頼する。
一方、新聞記者として働く久城は、とある有名精神分析医のもとに取材に向かっていた……。



私たちの! 久城と! ヴィクトリカが! 帰ってきたよ!!!!!
いやはや、まさか続編が出るとは思っていなかったので、発表されたときは飛び上がってしまいました。
最後まで追いかけたファンとしては、久城とヴィクトリカが会話をしているだけで震えるほど嬉しいのに……こんなのずるいですよ……!


舞台はマフィアが暗躍する1930年初頭、ニューヨークはマンハッタン。当時のアメリカを彷彿とさせるお洒落なワードがそこかしこに散りばめられていて、雰囲気は最高。
銀髪になったヴィクトリカは腕利きの私立探偵として裏世界で名を馳せ、久城は三流新聞の記者として街中を走り回っています。
前シリーズのラストで一応恋人としてくっついて、ちょっとは関係に変化もあるのかなと思いきや、ふたりの間の会話はヨーロッパの図書館塔とさして変わらず。「ああ、変わっていないなあ」と思わずひと安心、ほうっとため息をついてしまいました。
それでもやっぱり、「大事な妻」ということばが出てきたときにはドキッとしましたね! 前々からではありますが、久城のちょっとした動作のひとつひとつにヴィクトリカへの深い愛情が感じられて素敵でした。
ヴィクトリカの方も、もちろん普段はあんなですが、ふとした瞬間に久城に頼る姿を見せて、それが凄まじく可愛らしくて、こんちくしょう仲良き事は美しき哉!!


今回の依頼人は闇社会のボス。久城の甥っ子を人質に取られ制限時間を設けられながらの緊張の推理劇に手に汗握ります。
特に共通点もないように見える連続殺人事件に潜む秘密。やがて明らかになる凶悪な陰謀。
あくまで論理的に進めるミステリーの部分に、少々オカルトチックな要素を乗せる独特の味わいは、相変わらずの奥深さで大変好みです。古き大陸から新天地に降り立っても、まだヴィクトリカはオカルトから逃げ切ることができていないのですね……。灰色狼の血の業というものでしょうか。
事件の真相が明らかになってからの、さらなるひと悶着にまたドキドキさせられました。最後の最後までどちらか分からない恐怖の一瞬。お見事です。


もしかしたらこの1冊だけで終わるかもしれないと思っていたのですが、どうやら続いてくれるようで嬉しい。
どうやらとんでもない人物が敵に回りそうですけれども、久城とヴィクトリカは、次の嵐をどのようにして乗り越えてゆくのでしょうか。
もうもう、溢れる期待感で胸がいっぱいです。続刊も大いに楽しみにしています。


ちょっとグレヴィールさん何やってるんですか。