まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ロウきゅーぶ!(13)

ストーリー
いよいよ始まった、因縁の相手・硯谷女学園との公式試合。
六年生&五年生の頑張りに硯谷も全力で向かってくる。
そんな一進一退の白熱する展開の中、慧心女バスにアクシデントが発生し……。



なんと本編最終巻。衝撃! ショック! なんてこった!
事前告知がなかったので完全に不意打ちでした。作者によれば試合の結末を想像させることを防ぐため、ということらしいのですが……そうか、終わってしまうのか。
まだ本編外の続刊は予定されているとはいえ、メインの物語はこれで打ち止め。またひとつ、大好きな作品とお別れをしなければなりません。
無事に完結を迎えたのだからそれは幸せなことですが、やっぱり淋しいもんは淋しい。というか主に智花の成長をもう見られないことが淋しい。ああ、もっかん……。


12巻のラストは試合途中で続くという鬼のような引きでした。ということで今回は引き続き硯谷との試合・第3クォーターから。
試合前半は慧心にリードされっぱなしだった感のある硯谷ですが、ここにきて未有や綾、そして何より怜那が本領を発揮してきます。
思わぬ事故の影響もあり、次第に接戦へと突入していく試合。六年生だけでなく五年生も交えつつ、強敵硯谷に食らいついていく慧心女バスの戦いが本当に熱い。
きちんと全メンバーに見せ場を作ってくれているあたりはさすがですが、個人的に何より燃えたのはやっぱり智花とミミちゃんのダブルエースですね!
慧心が誇る天才ふたりのコンビネーション。ここでテンションを上げずしてどこで上げましょう。とても格好良かったです。
そして決着のとき。「彼女」が放った渾身のシュート。それはこの作品の中で何度も何度も描かれてきたもの。思えば物語の始まりもこのシュートからでした。だからこそ、彼女のシュートは物語の締めにふさわしい。シュートに始まりシュートに終わる。なんともうつくしいではないですか。


試合を終えて後半は、各キャラごとのその後を少しずつ。
小学生たちとの出会いのおかげで、昴はもちろん、葵も万里も、そして柿園や御庄寺まで、それぞれの道を歩み出すことができました。
彼らの本番はまだまだこれから。昴たちのことですから、きっと近い将来、驚くようなところまで行ってくれるに違いありません。
そして小学生たちは、また新しいステップへ。六年生組は卒業して中学へ進むけれど(同じ慧心の中だけれど)、慧心女バスはしっかりと続いていってくれそうで安心しました。新コーチさんにも頑張ってもらいたいものです。
昴も自分の活動が始まって、コーチではいられなくなって、それでも智花との時間はしっかり確保しているあたりはさすがという他ないですね。
いやもうほんと、私の中では智花こそが常にメインヒロインでしたからとても嬉しいです。このままずっと大人になるまで一緒にいていただきたい。


エピローグとして描かれたのは、智花がバスケを始めることになったきっかけのお話。
なんとなく予想はしていましたが、まあなんてロマンティックなんでしょう。もはやこれは運命でしょ。そうでしょ。
さて、これにて今作は終わり。まだ続刊はあるので感傷にはちょっと早いかもしれませんが、最後までいいお話でした。感想では小学生の可愛さにばかり書いてきたような気もしますけど、熱いバスケの試合も、小学生だけでなく高校生たちの成長も、みんな楽しんでいたのですよ。本当ですよ。
もちろん小学生が可愛いことは究極絶対の真理なんですけどね! 小学生は最高だぜ!
小学生たちの未来に思いを馳せつつ、「あともう少しだけ」出るという続刊も楽しみに待ちたいと思います。


しかし、最後まで昴さんの言い回しは意味深でしたね……。