まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

四百二十連敗ガール2

四百二十連敗ガール2 (ファミ通文庫)

四百二十連敗ガール2 (ファミ通文庫)

ストーリー
デレ園全告ツアー開始から1ヵ月、もはや告白してもいないのにフラれてしまうハル。
そんなある日、ハルに優しい言葉をかける謎の美少女が現れる。
気になる彼女の居場所・水泳部へと、情報収集のために仮入部することにした毒空木と時宗だが……。



毒空木のハチャメチャな可愛さが尋常じゃなくてもうどうしたらいいのか分からない第2巻。
いやあ、可愛いな……もう可愛いとしか言えないな。ほんと。
そりゃもうやることなすこと無茶苦茶だし、殴るし蹴るし、わんわんわめいてうるさいし面倒くさいしで、ダメなところだらけの女の子ですが、欠点ばかりだからこそちょっといいところが見えたときにはガツンと魅力的に思えてしまうわけでして、もうなんというか美少女は正義ですわ。こればっかりは仕方ないですわ。
理不尽とか不条理とか関係なく勢いに任せてとことん突っ走るギャグの応酬も健在で、読んでいて本当に楽しいと思える1冊でした。


今回のヒロインは水泳部の心優しき部長・布袋葵さんと、デレ園変人四天王『天然少女』の秋海棠ゆずり先輩。
女の子から「ありがとう」と言われただけで好きになってしまうハルの惚れっぽさはトホホですが、普段よっぽど周りの女の子からひどい扱いを受けているんだろうなと思うとやっぱり不憫。親友の手島はきっちり彼女を作っちゃってるわけですしね。
もっとも、毒空木ほどではないにしろみんな美少女なわけですし、その上揉んじゃったとなると、ハルが惚れてしまったのも道理かもしれません。でもその直前まで毒空木といい雰囲気を作っちゃってたことを考えるとやっぱりだめだなコイツ! ハルと毒空木と、どっちが不憫なんだろう……。
せっかくいい調子だったのに、結局ぶち壊すのはハル自身っていうのがまた救えない。『蟯虫齧り虫』は言いすぎかもだけれど、やっぱりハルは紛れもない変態でしたね。いや分かってましたが。
それにしても時宗さんの体はどんな物質でできているのでしょう。特殊合金か何か? ギャグのために生まれてきたみたいな人だな。


第三章から第七章まではずっとゆずり先輩のターン。ただでさえ奇人変人だらけのデレ園、その中で四天王に選ばれる変人とはさてどんなもんかと思ってみたら、いやはや紛れもなく最強クラスの変人でございました。ほんと、ことごとく予想をぶっちぎってくれるわ。
何の因果かお付き合い(!)することになって、先輩(変人)に振り回される主人公(変態)という構図が実に笑えました。
読んでいるこちらとしては、話が進むうちになんとなく「あれ、これはおかしいぞ」と察し始めるわけですが、そんなボタンの掛け違えにも気づかぬままどんどん暴走していくキャラクターたち。
そんな中、大真面目に「ハルに恋人ができた!」と怒って泣いて、でも大好きなハルの幸せのために応援してみせる毒空木のいじらしさには胸をぎゅっと掴まれました。
この姿にクラッと来ない人間がいるのか。くっつけとまでは言わないから(くっついたら終わっちゃうし)、せめて抱きしめてあげてくださいよハルさん……。


学園中から避けられていたハルと毒空木の周りにも、少しずつ人の集まりができてきました。変人ばかりですけど。類は友を呼ぶか。
キャラが増えてにぎやかになるとコメディの幅も広がっていいですよね。ゆずり先輩の今後の活躍が楽しみです。
毒空木の過去のことなど気になる伏線もあったので、物語の展開にも注目しつつ、次も思いっきりぶっ飛んだギャグで笑わせてくれることを期待しましょう。続きが待ち遠しい。


ドラマCDも聞きたくなってしまった。