まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

天翔虎の軍師

ストーリー
祖国フレリカ王国をトーレ帝国に滅ぼされたフレリカ軍大将軍の息子シエル。
シエルは敢えて帝都へと飛び込み、帝国の大軍師ディオラの下で軍略を学びつつ反逆の秘策を練る。
2年後、帝国軍軍師となったシエルは、祖国奪還のため囚われの王女救出作戦を実行し……。



「本格ファンタジー戦記」の文字に釣られて読みました。もう最初の大陸地図を見ただけでテンション爆上げです。作りこまれてますねえ。
お話は軽すぎず重すぎず、最後まで楽しく読めました。ちょこちょこ首をかしげるような部分があったのは気になるところですが。
まだ始まったばかりですし、今後物語が展開していくにつれてどんどん盛り上がっていくシリーズだろうと思います。最低でもこの地図の設定をしっかり使い切ってくれるくらいには続いてもらいたいですね。


キャラクター陣は全体的に魅力的でよかったです。
まずは主人公……よりもやっぱりヒロインのミオ王女! 囚われとなっている幼なじみのプリンセスを救いだすというロマン。ロマンは大事ですよ。ファンタジーはこうでないと。
王女でありながらおしとやかなお嬢様といった感じではなく、強気で周りを引っ張っていくのが格好良い。それでいて気を許す相手と一緒のときには普段と違う一面を見せてくれるところにまたきゅんときますね。
そんな王女と対抗するヒロインが、帝国軍の天才軍師にして主人公最大のライバル・ユミカ。「美少女軍師」っていいワードですね。なぜかときめく字面だ。
たぶんシエルのことを想っているのだろうに敵同士になってしまって、彼女が今どんな気持ちでいるのかと考えるだけでニヤニヤ。そういう気持ちを押し殺してあの断固とした文面の書状を送ってよこしたのだと思うとまたニヤニヤ。
いやあ、甲乙つけがたいけれど、今のところはユミカを応援したくなってしまいますね。と同時に、シエルとユミカが本気で軍を戦わせるのも見てみたいんですけどね。
主人公のシエルは天才軍師という触れ込みのわりにどうもパッとしなくて少し残念。まだ成長途中というのも分かるんですが、明らかに考えなしだろと思ってしまうことが結構あったんですよね。期待の大きさに比べると格好良いところがあんまりなかったような。今後に注目かな。
主人公周辺のキャラでいくと、あとはエナ、フレイ、マギーあたりですか。エナは尚書ということでこれから活躍してくれるでしょうが、フレイとマギーはいい戦いぶりを見せてくれました。特にマギーの無敵感が好き。


ひとまず窮地を脱したものの、帝国との本当の戦いはまだまだこれから。
帝国四将、大元帥ジン、大軍師ディオラ、そしてユミカにアレイアといった数々の強敵を相手に、シエルたちがどう戦い抜いていくのか今からワクワクです。
ユミカ側のお話も気になるのでどこかで描いてくれるといいな。ともあれ、次巻が楽しみ。


イラストは庄名泉石さん。切れ長の目がミオやユミカにぴったりで可愛いですね。
エナと睨み合うユミカのイラストでユミカに惚れました。もっとどんどん睨んでほしい。


カーチスさんみたいなキャラはなんだかんだ最後まで生き残ってそうな気がする。