まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

この中に1人、妹がいる!10

この中に1人、妹がいる! 10 (MF文庫J)

この中に1人、妹がいる! 10 (MF文庫J)

ストーリー
妹騒動も一段落して無事に新学期を迎えた将悟だが、心乃枝と雅は相変わらずケンカばかり。
そんな時、母の秘書の瀬利から将悟へ、友達連れでの温泉旅行の誘いが入る。
旅行中になんとか心乃枝と雅を仲良くさせられないかと考える将悟だが……。



シリーズ最終巻にして各ヒロインたちの後日談を描いた番外編。
心乃枝と雅はもちろん、凛香に愛菜に芽衣、そして柚璃奈といった元「妹」たちのこれからについて語られました。
メインヒロインふたりには本編の終盤にたっぷりと出番がありましたが、他の「妹」にはそれぞれの担当の巻以降にメインを張れる場があまりなかったので、物語終了後のおまけとしておいしい1冊だったと思います。


第2話は凛香が次期生徒会長に立候補するお話。凛香はかなり好きな方のヒロインですから、最後に凛香視点の話が読めて良かったです。
凛香が学校をよりよくするため一生懸命頑張ろうとしているのに、その生真面目ゆえに周囲から煙たがられてしまうのがなんとも切ない。
愛菜も凛香のために彼女なりのやり方で援護しましたが、完全に逆効果というか、むしろ凛香を追い詰める結果になってしまってあんた何やっちゃってんのって感じでした。ほんと、天然ってのは罪ですよね……。
滋賀さんや心乃枝から助言を受けながらも、自分でしっかり自分を見つめなおして前へと進むことができた凛香はさすが。改めて作中でもトップクラスに格好良いヒロインだと思いました。
第3話は芽依が普通の高校生活に挑戦するお話。口絵のコスプレイラストはこの回のものですが、心乃枝のせいで柚璃奈の体がよく見えなくてなんとも残念。サブヒロイン巻なんだから逆で良かったでしょうに(目に涙を浮かべつつ)。
オーナーとバイトという関係を超えた芽依と来実の友情が素敵でした。滋賀さんもそうですが、来実はヒロインになっていないのがもったいないくらいのキャラだと思います。いや、逆に将悟のヒロインになる方がもったいないか。


心乃枝と雅のお話にも決着。まあなるべくしてなったというところですか。
結局最後まで心乃枝のことがあまり好きになれなかった私ですが、逆にそれでずっと読めてこれたところにこの作品の不思議な魅力があるような気がします。
本文ラストのイラストがまさかの“あの子”だったのには驚きました。私が一番好きなヒロインですからとても嬉しかったです。思ってみれば彼女こそ、誰よりも「未来」を感じさせてくれるキャラかもしれませんね。
たった11冊とは思えないくらい長く付き合ってきたように思える今作も本当にこれで最後。
色々突っ込みどころもあったけれど、それも含めて愛着のあるシリーズになりました。物語もきちんと着地してくれましたし、最終巻まで読むことができて本当に良かったです。次回作も楽しみにしています。


鹿野子のドレス姿もちょっと見たかった。