まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

織田信奈の野望3

織田信奈の野望 3 (GA文庫)

織田信奈の野望 3 (GA文庫)

ストーリー
浅井長政の同盟軍と合流し、六角承禎を滅ぼして、遂に上洛を果たした信奈。
ところが、関白・近衛前久に嫌われ、銭十二万貫文の大金を御所に納めよとの無理難題を突きつけられる。
刻限までになんとか銭を稼ぐため、貿易都市・堺へと赴く信奈と良晴だったが……。



「運命の武将」明智十兵衛光秀がレギュラーキャラに加わりまして、いよいよ豪華メンバーそろい踏みといった感じです。
本能寺の変のことがあるとはいえ、光秀も秀吉と並び立つヒーローであることは確かですし、こうやって歴史を形作るキャラクターたちが一堂に会するのを見ているだけで、じんわりテンションが上がってきます。
ルイ「ズ」・フロイス松永久秀、そして奥州のあの人などなど、織田勢の他にも続々。知っている人も知らない人もいるけれど、たぶんみんなモデルとなった人物がいるのでしょうね。
ああもう、戦国時代について何も知らないことが本当に悔やまれる。知っていたらニヤニヤできるポイントも数倍はあるでしょうに! これをきっかけにして少しずつ学んでいきたいですね。
特筆すべきはやはり、よりによって扉絵になっていたあの子ですか。多少、いやだいぶ痛い子でしたけど、これが数年後には戦国を代表するスター武将のひとりになるというんですから、面白いものです。
活躍の場が離れているので、これからの出番はあまり期待できないのかなあと思うと少々寂しいですけれども。


十兵衛ちゃんが本気を出した! そうです。イメージ的に、彼女はこれくらい腹黒でなくてはいけません。
そのくせバカ正直で騙されやすいところといい、主君にこれだけ一途なのに肝心の信奈が良晴にべったりであるところといい、なんというか、とても不憫。
決して活躍の場面がないわけではないし、良晴のよきライバルとしての立ち位置を確立しつつあるのですが、なんとなく可哀想と思ってしまうのは、今後の歴史のことがあるからでしょうか。優秀な子なんですけれどね。
でも、勝負に勝って無邪気に笑う十兵衛ちゃんはやたら可愛かったです。イラストも素晴らしいですね! おでこ! おでこはいいものだ!
十兵衛も可愛いけれど、ヒロインとしての貫禄はやはり信奈に軍配が上がります。
ちょっと目を離したすきに堺でサルといちゃいちゃデートですか。もし十兵衛が来なかったらずっとやってたに違いないですよこの人たち。もういい加減にくっついてしまえばいいのに!
これみよがしに初恋の人の話なんか始めちゃってやきもちやかせて、焦るサルを見ておちょくって、という行動の全てが可愛くて仕方ない。これは良晴さん完全敗北ですね。尻に敷かれちゃいますね。泣く子と女の子には勝てぬのですよ。そういうものです。
この物語で本能寺の変が起こるのかどうかは分かりませんが、信奈にとっても十兵衛にとっても幸せな結末が訪れることを祈らずにはいられません。


終盤の盛り上がりが尋常ではありませんでした。迎えるはかの有名な撤退戦。
秀吉の代わりに自らしんがりを名乗り出る良晴。そんな良晴の覚悟を前に、それぞれの想いをもって最後の挨拶を交わす諸将たち。知らず胸が熱くなります。
でもやっぱり、一番ぐっときたのは信奈との別れですね。
歴史上秀吉は生き延びているけれど、良晴もそうだとは限らないし、大きな危険は間違いなく待ち受けている。
そんな戦いを前にして、身分は違えどお互いに意識していた相手と離れ離れにならなくてはいけない。叶えられるかどうかも分からない儚い約束が、切なく突き刺さりました。
それから十兵衛との別れは、信奈とはまた違った意味で胸を打つものがありましたね。
十兵衛の凄さを誰よりも知っているからこそ、彼女を信奈の近くに、という良晴の願い。心の中では良晴のことを心配しているのであろう、素直になれない十兵衛の気持ちを思うと、これもまた切ない。
しかし、またどうして私は手元に4巻を用意していないのでしょうね! 実にけしからんですよ!
リアルタイムで読んでいた方はこの状態で4巻を待たされたということですよね。なんて恐ろしい……。読んでからまだ1日経っていない私でさえ既に干上がりかけているというのに。
いやほんと、早く読みたいです。読みます。読まないでか。デアルカ。


半兵衛ちゃんに触診……ゴクリ……。