まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

正捕手の篠原さん3

正捕手の篠原さん3 (MF文庫J)

正捕手の篠原さん3 (MF文庫J)

ストーリー
秋季県大会を前に、いっそうの練習に励む明学野球部一同。
そんな中、仮入部員の杏は、愛理に才能を見出されてソフト部への体験入部を奨められる。
兄・守の口添えもあり、ソフト部へ臨時で入部してみる杏だったが……。



うん、相変わらずの軽さ、そして読みやすさ! 一旦止めようと思ってもついつい、「もう1話だけ」と思ってしまうから、あっという間にページが進んでいくんですよね。
それでいて今回はしっかり野球の試合も描いているし、もちろんラブコメ分も備わっているし、お手軽なわりにとても完成度の高い作品だと思います。
巻を追うごとにどんどん好きになってきたところなのだけれど、公式のあらすじやあとがきを見るに、これで最終巻なのかな。
続けようと思えば続けられそうではありますが、まあ、綺麗にまとまっているのも確かです。いいお話でした。


愛理が杏を勧誘。杏はただお兄ちゃんに突っかかってるだけのようでいて、実は色んな部分で高い能力を発揮しているんですよね。
帰国子女で、可愛くて、明るくて、まっすぐで、ソフトボールも上手くて、観察力があって、飲み込みが早くて、ってよく考えたら最強だなおい。守がシスコンじゃないのが悔やまれ……げほげほ。
守の後ろを追いかけるだけではなくて、自分なりの役目をチームの中に見出し、見事な活躍を見せた杏の姿はきらきらと輝いていました。拍手。
杏に限らず、今回は部のみんなが目に見えて成長していますね。
たとえば涼子先生。かつては野球のヤの字も知らないようなド素人でしたが、彼女なりに勉強を続け、ちょこちょことその成果を現し始めていたと思います。
それからもちろん、我らがエース綾坂と正捕手篠原のバッテリー。決め球「マルハナバチ」でバッターをどんどん切り捨てていく綾坂さん超かっこいい。
杏のときといい、綾坂のときといい、愛理はいい仕事をしてくれました。影の立役者は彼女ですね。


大会中でもしっかり文化祭に参加するあたり、深見率いる(※違います)明学野球部らしくて素晴らしい。
綾坂も深見もちらちらと篠原への好意を見せ始めて、文化祭へのお誘いが見事にかぶっちゃったりなんかして、ニヤニヤさせてもらいました。
とはいえそこは篠原、持ち前の鈍感朴念仁を存分に発揮する……のかと思いきや、ここでまさかのストレートど真ん中で攻めて来るんだからこの人は侮れない。
結果、ちょっとだけあの子の方がリードしている状況なのかなという感じですが、まだまだ決着はこれからですね。今後のことはもう想像するしかないのですけれども、なんとなく、この3人はしばらくこのままでいるような気がします。


いやあ、面白かった。2ページ1話でも、通して読むと大きな流れになっていて、1冊できっちりひとつの物語になっているんですね。
野球は一応ルールを知っているのと、ときどきTVで試合を流し見する程度の知識しかありませんが、試合のシーンも練習のシーンも、最後まで楽しませてもらいました。
これで終わってしまうのは残念ですが、千羽先生の新作を楽しみに待ちたいと思います。


特別編読んでなかったからMFブログのバックナンバーを漁ってこないと……。