まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

迷い猫オーバーラン!11 護らせてあげてもいいわよ!?

ストーリー
入学式での部員勧誘を企てたものの、生徒会の横槍で失敗し、新入部員ゼロの憂き目にあう迷い猫同好会。
テンションのあがった千世は、柴田を生徒会長に擁立するべく大規模な選挙活動を始める。
その異常なテンションに不審を抱く文乃たちだったが、活動の裏で、千世はとある問題を抱えていて……。



イラストレーター変更第2弾。といいつつ次で早くも最終巻を迎えるわけですが。
3冊で終わってしまうのなら、余計に、毎巻イラストを変えるなんて小細工をせず、普通に交代で良かったんじゃないかなあと思わざるを得ませんね……。


表紙のとおり、今回のメインヒロインは千世。わがままで傍若無人なお嬢様だけれど、ここぞというところでは人一倍に可愛らしい女の子だと思います。
しかしその傍若無人っぷりも、今度ばかりは様子が変。柴田の選挙活動をしたり、心の漫画の持ち込みをしたり、はたまた希のために世界中のパティシエを集めたり。
それが毎日のように続くのだから、さすがの鈍感朴念仁でも、何かあったのだろうと気付いて当然でしょう。
世界的巨大グループの令嬢であるという立場と責任。自由にやってきたように見える千世にも、やはり避けて通れぬ問題で、18歳の誕生日を迎え、遂にそれが彼女へと降り掛かってきたのです。
同好会メンバーの反応はおおよそ予想通りでしたが、ちょっと意外だったのは千世自身の思いですね。
嫌がりながらも、逃げるでもなく、親に反論するでもなく、ただ決定を受け入れるというのは、迷惑の台風のような彼女からは、あまり想像できない姿でした。
そこには、名家の一人娘として生まれた者にしか分からない、固い決意が垣間見えて、さらに千世のことが好きになりました。


かといって、はいそうですかでは終われないのが迷い猫同好会。
またずいぶん無茶をやってくれるものです。いくらなんでも、一流のSPや警備員をいなして潜り込めるわけがないでしょうに。本当に各国VIPが集まっているのなら国際問題に……まあ、いいんですけど。
なんといっても格好良かったのは文乃ですね。全く素直じゃない台詞を吐きながら、誰よりも早く、誰よりも強いことばを、全力で恋敵にぶつけた彼女はとても素敵でした。
さらっといいところを持っていったのは、迷い猫同好会の敵だったはずの、生徒会長と副生徒会長。たぶん初登場だと思うのですが、なかなかおいしい立ち位置だったと思います。ライバルと書いてともと読む。
ああ、佐藤さんと鈴木さんもいい仕事してましたね。元々好きなキャラでしたが、改めて惚れ直しました。千世は本当に、よくできた使用人を持ったなあ。


さて、毎度ながら巧への愚痴でもつぶやいて終わりにしましょう。
正直言って、序盤からずっと、巧が出てくるたびにイライラしてました。ほんとになんなんですかねこの男は。
この期に及んで「俺はまだ選べない」じゃねえよ。ああまったく、どうしてこんな男がモテるんですか! ありえないでしょう!
これはもう、優柔不断とかそういう問題ではないと思います。人としてどうなの。ねえどうなの。
なんか知りませんが、ヒロインズはこの優柔不断に好意的なんですよね。これがまた理解に苦しむところではあるのだけれど。まあ、恋は盲目っていうしな……。
次で最後なのですから、遅すぎるとはいえ、いい加減にそれなりの決断をしていただきたいものです。


今回のイラストは氷川へきるさん。なぜこのチョイス。
ええと、デフォルメだと思えばどのキャラも可愛いと思います。ぺったりした家康がなんか好き。


集英社だからってそんなにジャンプを推さなくても……。