まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

アクセル・ワールド10 ―Elements―

アクセル・ワールド〈10〉Elements (電撃文庫)

アクセル・ワールド〈10〉Elements (電撃文庫)

ストーリー
シルバー・クロウことハルユキが新生《ネガ・ネビュラス》の一員となって間もない頃。
とある過失から、ハルユキはバーストポイントを急激に減らしてしまう。
窮地に立ったハルユキに、タクムは加速世界の《用心棒》を雇うことを提案する……。



いつの間にやら10冊目。なぜかまだまだ始まったばかりのような気がしていたけれど、もうこんなに出ていたんですね。
記念すべき第10巻は、3本の短編を収録した特別編。振り返ってみれば、短編集というのも初めてでした。これまたちょっと意外です。
本編に大きく関わってくる(であろう)重要キャラが登場する話があるかと思えば、おそらく本編とは関わりのない遊び心に満ちた話もあって、それぞれ大いに楽しませてもらいました。


「遠い日の水音」は、ハルユキがレベル2に上がったばかりの頃のお話。
いやあ、カレントさんがとにかく格好良いですね! レベルとはなんだったのかと言わんばかりの戦いぶりにぞくぞくします。
まず、アバター自体の能力が半端じゃない。アバター色「不定」って、そんなのありか。
自分のアバターのことを知り尽くし、相手の情報まで集めて、確実に勝ってゆく姿に、大ベテランの風格を感じました。
最後に明かされた事実に驚愕。いやむしろ、読んでいて自分が気付かなかったことに驚きましたけど。作中でも一番といっていいくらい大好きな設定なのに。そういえばこんな名前だったよなあ。
そう考えると、対戦場所に選んだのが千代田区エリアだったというのもなんだか意味深です。
ページ数としてはそんなに長くないけれど、まだまだ謎や伏線が多く残された、この先につながっていくお話でした。カレントさんの再登場が待ち望まれます。
ああ、ハルユキのイベント遭遇能力もあれですね、カレントさんに負けず劣らずの凄さですね。


「最果ての潮騒」は、沖縄での修学旅行中、黒雪姫が奇妙なバーストリンカーに助けを請われるお話。
黒雪姫視点での話は初めてだったので新鮮でした。改めて、彼女がどれだけハルユキに依存しているのかが分かって面白い。
ほんと、お姫さまは四六時中ハルユキのことばかり考えているんですね。せっかくの修学旅行だというのに。
黒雪姫は普段、どうも気持ちが態度と行動に現れにくいので、本当にハルユキのことが好きなのかと疑ったこともありましたが、今回ではっきりしました。この人、恋する女の子だ。
ゲストのバーストリンカー3人は、実にユニークなキャラたちばかり。沖縄にいるということでしばらくはまず出てこないんだろうなと思うと、なんとも惜しい。
特にクリキンは、夢溢れる戦い方を見せてくれました。いつか再登場してくれるといいな。
一方で、現実世界での黒雪姫の親友・恵も登場。バーストリンカーならではの、友人との関係の葛藤には、なるほどなあと思わされました。
恵は、これからも出てきそうなキャラですね。フーコさんと一緒に黒雪姫をいじり倒してほしいです。


「バーサス」は、「ソードアート・オンライン」の主人公・キリトとハルユキが、奇跡的に出会い、拳を交わすお話。
あとがきで作者が言っているとおりのお祭りSS的内容ですが、バトルはやはり熱かったです。
心情的にはやはりハルユキを応援してしまいますけど、突然ブレイン・バーストに放り込まれて、すぐにハルユキと同等以上に戦えるキリトの適応力はさすがといったところですか。
黒雪姫の思わせぶりな反応が気になりますね。そういえば彼女の心意技は、なんて考え始めるとキリがないけれど、多分何かあるんだろうなあ。


次回はいよいよ七王会議再び、ということで、早く読みたくてたまりません。
加速研究会との戦いもいよいよ本格化していきそうですね。まずはあの本拠地に乗り込まなくてはいけないわけだけれど、さてさて。
他レギオンとの共同戦線などが実現したら素敵だと思うのですが、どうでしょうか。何はともあれ、続きが待ち遠しい。


《黒》も確かに気になるけれど、もっと気になるのは《白》かなあ。