シオンの血族3 魔王ミコトと那由他の十字架
- 作者: 杉井光,きみしま青
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2011/10/20
- メディア: 文庫
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還肉機関のエージェント、ノウェムによって万魔写本を奪われ、力を失ってしまったミコト。
機関からの追撃に備え、なぜか嫁全員を引き連れて南海の孤島のプライベートビーチへ避難することに。
ところが、警戒をとんでもない手段ですり抜けて侵入してきたノウェムがミコトに接近し……。
だから、そこを敵に回すのは危ないと何度言ったら……な第3弾。
戦時中のあの人やあの人までネタにし始めて、これはもう本格的に色んな人に叱られそう。
ここまでやったらとことん行っちゃっていいんじゃないかな、みたいな冒険心は嫌いじゃないです。
しかしこの総統はあれですよね。明らかに史実の彼よりも動画サイトでネタにされている彼を意識していますよね。
彼もそうですけど、各国首脳ノリ良すぎだろ。あとめちゃくちゃにバイオレンス。笑えます。
冬子を筆頭として変態しかいないヒロイン陣。いつもながら、まともなのは有葉だけですね。
いや、神聖拒絶反応さえなければとっくに実の弟とえっちいことをしていたであろうメインヒロインをまともと言うのは非常に抵抗がありますけれど。
それでもやっぱり有葉がいるから話が先に進むというのも事実です。彼女がいなかったら多分、全員で延々とちちくりあうだけのお話になっているんじゃないでしょうか。
満を持してノウェムが登場しました。1巻のピンナップで出てきているのに2巻の最後まで出て来なかったもんなあ。
敵が送り込んできたエージェントにして、人造の人形であるノウェム。
初めのうちこそ使命のことばかりで、それこそ人形のような単純な思考ばかりだけれど、有葉やミコトたちと接していく中で新しい感情に出会っていく。
ううん、ベタですね。ベタだけれど、ロボ娘ヒロインはこうでないと。厳密にはロボットじゃないのかな。どっちでもいいか。
最終的にたどり着く感情は言わずもがな、「あれ」なわけですが、物語の背景からして、汝の隣人を、みたいなことにつながっているんですかね。
こういうところでもなんとなく宗教的な部分を感じさせるのは、上手いなあと思います。
終盤の展開はなかなかに熱かったですね。ミコト陣営も頑張っていましたが、某枢機卿氏と某将校氏が意外なほどに(あまり言いたくはないけれど)格好良かったです。こんなキャラだったのかよ。おいしい立ち位置だなあ。
自分の信ずるものにどこまでも忠実。それはつまるところ、ただの狂気に他ならないのですが、そんな狂気のほとばしりには、一種の力を感じました。
ラストは予想通りといえば予想通り。ああしかし、イラストは想定外です。全くけしからんですな。
ミコトはどうしても、いい男には見えないもので、ハッピーエンドなのか地獄絵図なのかは判断に迷うところですが、まあ、当人たちが幸せならいいんじゃないんですかね。
お話はこれで一段落したようです。千、九十億、那由他ときて、この上となると不可思議と無量大数しか残っていないし、これで最終巻でしょうか。
危険なネタは満載だったし、地味に複雑な設定のおかげで結構な読みにくさを誇る作品でしたが、なんだかんだで楽しかったですね。
ゲーム版の方はまだ買えていないのですけど、余裕ができたらやってみたいなあ。
本を使ってやらしいことするソフィアさんのイラスト化が待たれる。ゲーム版にあったりします?