まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜

先日、映画館でドラえもんの映画を観てきました。
一応ドラえもんオタクを名乗っているくせに去年の「のび太の人魚大海戦」は観に行かなかったので、映画館で観るのは2年ぶりになります。
今までの新ドラえもんの映画は、「のび太の恐竜2006」を除き、どうもしっくりこなかったのですが、今回の「新・のび太と鉄人兵団」は純粋に面白いと思える作品だったので、感想など書いてみたいと思います。


観る前に不安だったのはオリジナルキャラ・ピッポのことです。

  • ジュドの脳に可愛らしい外見を持たせ、のび太たちと交流をさせるというのは果たしてどうなのか。
  • リルルとのやりとりの意味が薄れて、安っぽい感動になってしまうのではないのか。
  • そもそも原作にあるキャラを変えるというのは、全く新しいキャラを出すよりも原作の意図を変えてしまう可能性が高いのではないか。
  • 大体、そのやり方は新・魔界大冒険で懲りたのではないか。

とまあ、こんな風なことを、原作ファンとしてうだうだと考えていたわけですが、結果としてはこのピッポ、なかなかにいい味を出していました。
鉄人兵団の手先であったピッポは、のび太たちと行動を共にする中で人間の素晴らしさに気付いていき、最終的にはリルルを説得するまでになります。
つまり大きな視点で見ると、ピッポのび太たちとリルルとの架け橋として働いているわけですね。
原作ではリルルはしずちゃんの看病だけで心を動かされますが、リメイク版ではピッポがそれに加わって、リルルが鉄人兵団に立ち向かう理由を補強していることになります。
また、リルルが昔ピッポを助けたというエピソードが加わったおかげで、リルルは元から優しさを秘めていたのだというキャラ付けが明らかになりました。
原作のリルルはあくまで冷たく使命に純粋なロボットだという印象が強いのですが、リメイク版ではリルルに感情移入がしやすくなっているように感じられます。
さらに、ジュドの脳であるピッポがいることで、ザンダクロスが最後まで主役級の働きを見せました。
原作の鉄人兵団はリルルとの交流がメインに据えられていて、途中からはザンダクロスがあまり目立たない。
ジュドの脳はドラえもんによって改造されて、完全にのび太たちの仲間として働きます。
もちろん原作ではその分、リルルというドラえもん史に残る素晴らしいヒロインに全ての話題が集中していたということを考えれば、リメイク版と比べてどちらがいいということはありません。
しかしザンダクロスというロボットの格好良さを生かし切ったという意味では、これはなかなかいい改変だったと言えるのではないでしょうか。
リメイクはあくまでリメイクですから、すっかり全部元のままというわけにはいきませんよね。
どうしても変えなければならないところが出てくるわけで、ピッポはそのリメイクの上での新しい要素として、この名作にまた新たな感動を持ち込んでくれていたと思います。


一方、リメイクによっていなくなってしまったキャラもいます。鉄人兵団きってのギャグ要員・ミクロスです。
ピッポによってマスコット的な立ち位置が埋まってしまったからなのでしょう、残念ながらリメイク版では彼は喋ることなく、スネ夫のラジコンとしてだけ登場します。
原作では物語のいい引っかき回し役として大活躍してくれるのですが、今回はことごとくピッポにお株を奪われてしまった格好です。
原作においては、彼はラストでとても重要な役目を果たします。ミクロスがいなかったら地球は滅亡していたかもしれない。
そんなキャラが登場しないのは、構成上仕方ないこととはいえ、やはりちょっと寂しいものです。
また逆に、それほどのキャラを無理に登場させず、ばっさりと切ったことは大英断であったとも言えるでしょう。


他、思ったことをちょこちょこと。

  • ドラミがほとんど出なかったのは何よりも褒めたいところのひとつです。ドラミは安易に劇場版に出すべきではありません。
  • のび太のなぞなぞは出して欲しかったかなあ。小さい頃に読んで大笑いしたものです。
  • しずちゃんを助けるのび太→ギュッがあって嬉しい。いいニヤニヤシーンですよね。
  • 決戦前夜、鏡の世界をエンジョイするのび太たちのシーンがなかったのはちょっと残念かも。
  • 3つの星と歌が印象的でした。でもラストでリルルが使った緑の星は「それでいいのかよ!」っていうツッコミ待ちですよね?
  • リルル役の沢城みゆきさんが本当に素晴らしかったです。大事なところでちゃんとした声優さんを使ってくれるのはありがたいですね。
  • しかしまあ、なんだ、改めて見るとリルルってめちゃくちゃ可愛いなあ!
  • 「初めてお絵かきしたロボットはガンダムなどではなくザンダクロスだ!」というのは私だけではないと信じたいな。



エンドロール後のおまけムービーで来年の映画制作決定が発表されました。
ジャイアントモアが出てきたところを見るに、来年もまたリメイク版だとするならば、「新・のび太と雲の王国」なのではないかと思ったり。
もちろん完全新作の可能性もありますが、雲の王国は大好きな作品ですから、ぜひリメイクに踏み切ってもらいたいですね。ちょっと期待。