まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

GOSICKⅡ―ゴシック・その罪は名もなき―

  • ストーリー

村で起きた不思議な盗難事件を手土産にヴィクトリカの元を訪れた一弥。
あっさり解決してしまったヴィクトリカだったが、推理を聞いた警部は妙な様子で立ち去ってしまう。
翌日の新聞には警部が犯人を捕り逃したことが書かれており、広告欄には謎めいたメッセージが……。


ヴィクトリカの母の秘密に迫る第2巻。
舞台は世の中から隔絶された山奥のとある村。その村で育ち、追放されてしまったヴィクトリカの母。
彼女の無実を証明するため、ヴィクトリカは20年前の謎に挑みます。
1巻に続いてホラーチックな話でした。他人を寄せ付けない村の人々や、霧に包まれた館がとても不気味に映りました。
そんなおどろおどろしい雰囲気の中、“知恵の泉”を存分に働かせて謎を解いていくヴィクトリカはやはり素敵ですね。


ヴィクトリカと一弥は今回、ちょっとしたことで仲違いをしてしまいます。
一度は絶交とまでなったのに、ムキになっているのはヴィクトリカばかりで、一弥は喧嘩したことさえすっかり忘れてしまっているのがなんとも楽しい。
無視され続けてもしっかりと後をついていく一弥がなんとも健気です。完全に尻に敷かれてますね。
とぼけているというか、清々しいというか、ヴィクトリカでなくても呆れてしまうような一弥の性格ですが、こんな性格だからこそヴィクトリカみたいな女の子と上手くやっていけているのだろうと思います。
そんな風に、ヴィクトリカからいいように扱われている一弥ですが、実はヴィクトリカの心の支えになっているということも確かで。
自分ひとりで何でも解決できてしまいそうなヴィクトリカだけれど、やっぱり一弥にはついてきて欲しかったのでしょう。
そうでなければあんな風に涙ぐんだりはしませんよね。
心の底では一弥のことを頼りにしているんだということが伝わってくる描写がたくさんあって、嬉しくなりました。


クライマックスからエピローグまでの流れはもう、ニヤニヤ全開でした。
めったに本音を口に出さないヴィクトリカだからこそ、時々ぼそっとつぶやくことばが愛おしい。
事件も綺麗に終わりましたけど、いくつか未解決のことが残されているのがちょっと気になりました。
まあ予想はできなくもないのですが、一番不気味な部分でもあっただけに、ちゃんとした解説が読みたかったです。
ともあれ次の巻も楽しみ。ブロワ警部の髪の毛にセンチメンタルな理由……だと?


武田日向さんのイラストが破壊力抜群でした。涙目でむすっとして上目遣いのヴィクトリカとか、うっはあ!
角川文庫版も出ていますけど、やっぱりこの挿絵が見られないのはもったいないよなあとしみじみ思うのでした。