GOSICK―ゴシック―
- 作者: 桜庭一樹,武田日向
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2003/12
- メディア: 文庫
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- ストーリー
名門聖マルグリット学園の図書館塔、その一番上にある植物園に、妖精のような少女・ヴィクトリカがいる。
ひょんなことから少女の友人になった留学生の久城一弥は、学校と彼女との連絡係のような役目についていた。
ある日2人は、知り合いの警部から謎めいた殺人事件の話を聞かされ……。
なんとしてもアニメ前に読まねばということで、ようやく手に取ってみました。
美少女名探偵もの(探偵じゃないけど)という時点で胸がときめいていたわけですが、期待に違わず面白かったです。
図書館塔の一番上に閉じ込められ、世間の目から遠ざけられた貴族の美少女・ヴィクトリカ。
見た目は美しい人形のような女の子なのに、声はしわがれ、妙に達観した性格を持ち、世の中に退屈している彼女。
そんなヴィクトリカが、少ないヒントを元にして、オカルトめいた事件をあっさり解決してしまうのが楽しい。
ふんぞりかえっている大人たちが年端もいかぬ少女に手玉に取られる姿は、見ていて気分がいいですね。
そんな彼女が、普段は偉そうで皮肉屋なのに、見慣れない外の世界に目をきらきらとさせたり、久城に対してほんの少しの本音を見せたりするのはとても可愛らしかったです。
頭の切れる探偵役の美少女が、助手役の少年にだけ心を許す。
平然としているように見えて、実は心を痛めていたり、人を心配していたりする。
王道といえばそうなのかもしれませんが、やっぱりこうでなくちゃね。ニヤニヤさせてもらいました。
密室殺人事件が起こり、これを解決していくのかと思いきやもっと大きな事件に派生。舞台は海の上へ。
幽霊船のホラーじみた雰囲気や、10年前の出来事との関連にゾクゾクします。
ミステリだけでなく一種冒険のような要素もある中で、怯えつつもヴィクトリカを守ろうとする一弥が少しだけ格好良かったですね。
「帝国軍人の三男」がいちいち鼻についていたのですけれど、最終的に彼がそこから脱却できたのは素晴らしいことだと思います。
なんだかんだで一番謎なのはヴィクトリカだったりするわけで、最後には驚きの事実が待っていました。
彼女にはまだまだ秘密が隠されていそうですね。これから明かされることもあるのでしょうか。
まあ本音を言うなら、次もこんな風にヴィクトリカが可愛ければそれで満足です。最後のひと言なんてもう最高。
しかし何よりもミステリーなのはあとがきを読んで桜庭先生が女性であることを初めて知ったという自分自身である。
なんてこった。