まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

死なない生徒殺人事件 〜識別組子とさまよえる不死〜

  • ストーリー

生物教師・伊藤が着任した女子校「私立藤凰学院」には、「永遠の命を持った生徒がいる」という噂があった。
話半分に聞いていた伊藤だったが、ある日、自分がその「死なない生徒」だという女生徒に出会う。
ところが程なく、彼女は何者かの手によって殺害されてしまい……。


やられました。手の平の汗と背筋のゾクゾクが止まらない。
なんといっても野崎先生だし、読んだ人の評判も聞いていたので、ある程度身構えてから読んだはずなのですが、やっぱりどうしようもありませんでした。完全敗北です。
予想通りとはいえ悔しい。大好き。


周りが見えない闇の中を突き進むような不安感、次々と明らかになっては覆されていく事実。
ちょっとでも気を抜いていると、そこを的確に、それも予想外の方向から突いてくる。
初めのうちこそ少し不気味なミステリーといった雰囲気なんですけど、読んでいるうちにどんどんその不気味さが大きくなっていって、半分ホラーなのではないかとさえ思えてしまうその空気にどっぷりと浸ってしまう。
そんな中で始まる謎解きパート。連続で襲いかかる衝撃。もはや目を回すしかありません。


オカルト的な能力のある世界なのかそうでないのかが分からないのがまたにくい。
あると分かっているならば「不死」ということにこれだけの衝撃を受けることはないでしょう。
でも表面的にはオカルト要素の見えない、至って普通の学校の話であるだけに、何か理由があるのではないかと探ってしまう。
軽快に交わされる会話の裏に何が隠れているのかとか、どこかにトリックはなかったかとか、別に自分で謎解きをする気はなくてもついつい気になって、最終的には疑心暗鬼に。
それだけ疑ってかかったのに、その隙間を縫ってさらに騙してくれるのがまた素晴らしい。
私がミステリーを読み慣れていないから騙されたというだけかもしれませんけどね。
こういうのは綺麗に騙されてこそ楽しめるんじゃないかなと思います。
作者の手の上で踊らされるのって、なんて楽しいんだろう。


そして最後の最後にこれですよ。とっておきのラストってやつですか。
ああもう、たまらない。