まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

僕たちは監視されている

僕たちは監視されている (このライトノベルがすごい!文庫)

僕たちは監視されている (このライトノベルがすごい!文庫)

  • ストーリー

「IPI症候群(クローラ)」とは、ある対象の秘密を集めなければ気が済まなくなってしまう病気である。
そんなクローラ患者たちへ秘密を提供する「IPI配信者(コンテンツ)」である小日向祭は、親友の七種一葉と共に騒がしい日々を送っていた。
ある日、2人の近くに上位のコンテンツの少女・テラノ・ユイガが現れ……。


第1回『このライトノベルがすごい!』大賞金賞受賞作品。
少し不安に思いながら手に取りましたが、いやあ、面白かったです。
タイトルから暗いイメージを受けていましたが意外なことに清々しい(?)学園青春ものでした。
ネットの怖さやクラスメイトの孤立など、暗い部分もたくさん描かれてはいますが、メインテーマは少年少女の心のつながりということでいいのではないでしょうか。


変わった設定と読みやすい文章のおかげでかなりのめりこんで読めました。
コンテンツという設定がまず面白いですね。
自分の姿を不特定多数の人に晒しながら生活するなんて想像するだに恐ろしいことですが、祭も一葉も(一葉はコンテンツではないけれど)コンテンツという職業に独自のこだわりとプライドのようなものを持っている。
それでいて周りの人がコンテンツを避けるのも理解できてしまう。なんとも微妙な立ち位置ですよね。


祭と一葉のコンビはとても魅力的。
まっすぐで素直、でも不安定なところがある祭と、先頭に立ってはしゃぎながら祭をうまく誘導し元気づける一葉は相性ばつぐんです。
そして2人とも実に可愛い。ある理由から実に悔しく感じるのですが、祭も一葉も可愛い。
見ていて元気をもらえる名コンビだと思います。これぞ親友。
そしてもう一方のコンビ、祭とユイガ。
他の生徒たちや「視聴者」から色々言われながらも徐々に心を通わせていく2人に胸が熱くなります。
この2人のやりとり、特に終盤のあたりはちょっと白々しく聞こえるというか、共感しづらいところもあるのですが、自分の全てをもってユイガに訴えかける祭の姿はとても格好良く見えました。


まだまだ掘り下げられそうなキャラがたくさんいるし、続きがあるのならぜひ読みたいなあ。


七種=さいぐさの読み方がなかなか覚えられなかったのは僕だけでしょうか……。