まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求 ~愛弟子サヨナのわくわく冒険ランド~』感想

賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求 ~愛弟子サヨナのわくわく冒険ランド~ (電撃文庫)

ストーリー
「ところでコレ、ホントに出版するの?」
編集長の鋭い眼光とその言葉に、担当編集の命は風前の灯火であった。
本作は『賢者にして勇者である最強の称号《賢勇者》を持つ男が、弟子(おっとり巨乳美少女)とともに社会の裏に隠れた悪を断罪する』という“ザ・今時のライトノベル作品”としてスタートした。だが作家からあがってきた原稿は、全裸のイケメン(賢勇者)をはじめ、筆舌に尽くしがたい変態仲間たちが織りなすナンセンスギャグギガ盛りの――いわば「なぜか堂々としている社会悪」的な何かであったのだ(ついでにヒロインの胸も削られていた)。
「だ、出版(だ)します! 面白いですから!」
超言い訳っぽい担当の言葉は真実か!?  答えは――今、あなたの手の中にある。

これはひどい(それしか言えない)
「なんだかやべぇ新作が電撃から出るらしいぞ」そんな雰囲気が、すっかりラノベに対するアンテナが低くなってしまった僕のタイムラインからも読み取れるほどにTwitterがざわついていたので読んでみました。
物語の中身がまるで見えない「外し」系のあらすじってやつ、まあ嫌いじゃないんですけど、「ふぅん? そういう方向性で来るんだ? でもこんだけ吹っかけてくるってことは当然それだけのモノが読めるんでしょうね?(威圧)」って感じで斜に構えてしまって、どうしてもハードルが高くなってしまいがちなんですが……。
安心してくれ。コレは僕の想定を超えるアホギャグだった。そら編集者もマトモにあらすじ書けんわな(納得)。


魔物ひしめく森の奥深く、人里離れた奥地に住まう「賢勇者」シコルスキと、彼の唯一無二の弟子サヨナ。
これはそんな二人が、賢勇者の力を求めて日に日にやってくる一風変わった客人の頼みを聞いていくお助け日常ファンタジー(ただし登場人物が全員ド変態の)である!
……それなりにハイファンタジーっぽい雰囲気を出してきたのが出だし2ページしかなかったぞ。どうなってんのマジで。あとなんで誰かしら(主に男が)脱いでんの。
変人と奇人と変態ひしめく中に唯一人存在するツッコミ役サヨナが救いすぎる。これサヨナが弟子入りする前はどんなカオス世界だったんだ。ただボケればいいってもんじゃないんですよ!
ギャグのセンスはかなり高い……んじゃないかな。うん。たぶん。いや正直この本のギャグでめっちゃ笑ったー! とか言うのすごい恥ずかしいんですけど、実際笑っちゃったから仕方ないわ。ほんっっとにしょうもないんだけど。そのしょうもなさが最高。これは乾いた毎日に疲れ切った現代人へのポーションとなれる存在かもしれないゾ(適当)。


中身について触れようと思うと大半シモネタかセクハラか著作権にひっかかってしまいそうなのだが、とりあえずサヨナはかわいい。胸部が切ないところもかわいい。というかこのヒロイン、ヒロインなのに貧の乳をいじられすぎである。もはやほぼ全キャラにいじられているどころか、いじられすぎて自分でもいじっちゃってる。不憫。そこがかわいい。
個人的に好きなのは第四話。いやほんとこれ大丈夫なの? 快○天の表紙がイラスト上に載ってるライトノベルなんて見たことないんですけど? 作中では伏せ字すらなくて作者の気概を感じた。まあそういうお話である。
好きなサヨナのツッコミでいうと第五話より「死のラノベ破壊ウイルスですよ!!」ですかね。遊○王が好きなんだな(作者が)ってことはなんとなく伝わったよ。
そしてKADOKAWAの扱いだけはガチでアレすぎて凄い。作者も編集も一体なにと戦っているの? その勇気と覚悟と元気と本気、もうちょっと他に使い所があったんじゃない?
続きが出るのか出ないのか、出たところで別に読まなくてもいい感は凄いんだけれども、でもきっと読むんだろうな。そう、僕もまた、乾いた毎日に疲れ切った一人の大人だから……。


イラストはかれいさん。この本、イラストだけが癒やし的なところがあります。サヨナはかわいいなあ。
表紙の差分になっている扉絵のひどさに今気付いて鼻水でた。


なぜだか知らないが電撃文庫編集部の住所を覚えてしまったなあ。なぜだか知らないが。