まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『七つの魔剣が支配する』感想

七つの魔剣が支配する (電撃文庫)

ストーリー
春――。名門キンバリー魔法学校に、今年も新入生がやってくる。黒いローブを身に纏い、腰に白杖と杖剣を一振りずつ。胸には誇りと使命を秘めて。そんな魔法使いの卵たちを迎えるのは、桜の舞う満開街道と魔法生物たちのパレード。が、希望に胸躍らせるのも束の間。キンバリーの孕む数々の脅威が彼らに襲い掛かる。気まぐれに生徒を飲み込む地下迷宮、怪物じみた上級生たち、亜人種の人権を巡る派閥の対立――。そんな魔境を仲間と生き抜く中、オリバーは一人の少女と縁を結ぶ。腰に日本刀を提げたサムライ少女――ナナオ。二人の魔剣を巡る物語が、今、始まる。

サムライ少女、魔法学校へ
魔法学校に新入生として入学したサムライの少女が、友人たちとともに危険だらけの学園生活を送るファンタジーバトルアクション。
いやーこれは面白かった! こんなに細部までこだわった魔法学校ものは久しぶりに読んだなあ! 魔法世界の設定が楽しいだけでなく、魔法とチャンバラが入り交じるバトル描写は迫力があるし、ストーリーはいい意味で予想を裏切るような展開で、隙のない面白さでした。やられたー!
主人公コンビをはじめ、友人たちのキャラクターがとても好きなんだけれど、今後この関係がどう動いていくかを思うと胃が痛いね……(笑)。


舞台であるキンバリー魔法学校の設定の数々がとても楽しいです。魔法学校ものをやるならちゃんと授業の場面がほしいし、不思議な魔法生物と関わったり、摩訶不思議な校舎に惑わされたり、奇人変人な先輩たちに絡まれたりしてほしいんだけれども、今作は全部やってる。すごい。
ディティールに凝っているから、本当に魔法の世界に迷い込んだかのようなワクワク感があって素晴らしいのです。この単語を書かずにはいられないから書いちゃうけど、ほぼホグ○ーツである。ただ、あちらに比べるとキンバリー魔法学校はどうも命を落とす確率が高すぎるようなので、あんまり入学はしたくないですね……。
そんな魔法学校に入学した新入生たち。デキる男主人公のオリバーをはじめ、カティやシェラ、ガイにピートといった個性的な面々が揃っています。
そんな中で異彩を放つのが東方から連れられてきたサムライ少女のナナオ。一人だけ魔法を全く知らずに連れてこられた彼女が、少しずつ魔法の不思議に触れていくさまにドキドキします。
また、魔法は使えずとも戦闘のセンスはピカイチの彼女。純粋な剣術で強力な魔法生物や魔法使いを相手に立ち回る姿はめちゃくちゃ格好良い! アクションシーンがまた巧みで、スピーディーかつ勢いのある描写に手に汗握ってしまうのですよ!


入学直後より、何者かの悪意にさらされるナナオたち。なにせこの学校、生徒はおろか先生たちまで危険な人物揃いなので毎日のように危険がやってくるのである。
表立って見える悪意もあれば、裏から仕掛けてくる悪意もある。様々な陰謀渦巻く学校で、ナナオの剣やオリバーの知恵を中心に、互いに協力しあいながら生き抜いていく新入生一同。カティなんかは実に健気な子で、がんばれと心から応援したくなってきます。
命さえ脅かされる魔法学校での生活の中で、サムライの少女が得るものとは。そして、ラストで恐るべき真意を見せつけてくれたオリバーの今後は。
ぜひ長く続いてほしいシリーズ。気になることが多すぎて、続刊が楽しみでなりません。


イラストはミユキルリアさん。表紙の迫力! 素晴らしい!
キャラデザではシェラが好きです。


この呪文は詠唱したくなる。