まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『魔法使い黎明期 劣等生と杖の魔女』感想

魔法使い黎明期 劣等生と杖の魔女 (講談社ラノベ文庫)

ストーリー
五百年に及ぶ教会と魔女の対立と、数年前に成立した和平。だがその陰で、対立の残滓は、まだ世界の各地に色濃く残っていた――。ウェニアス王国王立魔法学校に通う、落ちこぼれの生徒セービルは、学校入学以前の記憶を失っていた。そんな彼は、アルバス学長の命で、反魔女派の勢力が強いウェニアス王国南部に特別実習として向かうことになる。同行するのは、魔法の始まりを告げる禁書【ゼロの書】の閲覧を求める黎明の魔女ロー・クリスタスや、秀才少女のホルト、それに学校唯一の獣堕ちクドーといった、いずれも個性の強い面々だ。そして、彼らが南で出会うことになる真実とは――。『ゼロから始める魔法の書』の虎走かけるが贈る本格ファンタジー

ゼロから始める魔法の書』と共通の世界で繰り広げられる、新たな魔女と魔法使いたちの物語。
実は前作を3巻くらいまでしか読めていないので、前作のキャラクターも登場してくるらしいし、読んでも大丈夫かなと思っていたんですが、特に大きな疑問もなく読めました。こっちを先に読んでも全然問題なさそうですよ、ご新規さん!
個性バラバラで未熟な魔法使いの卵たちと、頼りになるんだかならないんだか分からない不思議な魔女との旅路は、それだけでもう楽しい。1冊の中で登場人物それぞれの成長をきちんと見せてくれる、しっかりとした読み応えのお話に仕上がっていたと思います。


成績が悪すぎて魔法学校からの退学の危機に迫られた主人公・セービルは、学長からの指示で王国南部の村での特別実習に赴くことに。そんな彼の付き添い役を買って出たのは、見た目幼女ながら300年を生きる伝説の魔女ロー・クリスタスだった……。
おっ、まさかの魔法学校ものか!? と期待していたらあっさり旅に出てしまってちょっと残念……(笑)というのはいいとして、伝説の魔女と魔法使いの卵(たち)との旅ですよ! あーもうワクワクしてきちゃう!
もっとも、もう少し平穏な旅路を予想していたのですけどね。結局最後までピンチ続きでしたね。この世界での魔法使いの立場の難しさを思わされます。


メインとなる魔女・ロスは小さな体に叡智をたくわえた老獪な幼女。作者も言及しているように「のじゃロリ」。みんな大好き「のじゃロリ」である。ベタな設定ながら、長命であるからこその道楽主義であっけらかんとした表面的な顔と、一歩踏み込んだところにある経験豊かな魔女としての顔とを使い分けており、底知れぬ奥深さを感じさせるキャラクターでした。強い幼女に守ってもらうってなんだか燃えるよね……。
魔法の才能に恵まれず、自信を持てないセービル。成績優秀、でもとある重大な秘密を打ち明けられずにいるホルト。トカゲの獣堕ちで周囲から嫌われているクドー。問題だらけのパーティメンバーが、ロスの意外とまっすぐな指導のもとで少しずつ自分の生き方を見出していく。時に無茶もしでかすし危なっかしくてたまらないけれども、自分の殻を破ろうとする魔法使いの卵たちの姿は眩しく輝いて見えました。
そして終盤! まさか1巻目で普通に、前作の主人公コンビが登場するとはねえ。思いっきり悪役だったのが違和感バリバリだったのでこの展開はある程度読めましたけど、それでもドキドキさせられましたわ。ロスとゼロの魔女同士の対話とか最高に熱かったです。
魔法使いとして新たな一歩を踏み出した一同が、次はどんな冒険に巻き込まれるのか。続きが楽しみですね。あ、もちろんラブロマンスにも期待してますよ! メインヒロインはホルトちゃんなんだよね、そうだよね? ホルトちゃんかわいいんじゃー!


イラストはいわさきたかしさん。前作コミカライズから続編のイラストへというパターンですな。表情豊かなロスのイラストがどれも素敵です。
でもやっぱりホルトちゃんだな! 頬染め美少女は正義なのじゃ。


Wikipediaを見て)結構前作のキャラクターだらけなんだな……ちゃんと読みたくなってきたな……。