まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『錆喰いビスコ2 血迫!超仙力ケルシンハ』感想

錆喰いビスコ2 血迫!超仙力ケルシンハ (電撃文庫)

錆喰いビスコ2 血迫!超仙力ケルシンハ (電撃文庫)

ストーリー
《錆喰い》由来の特殊体質を治すべく、大宗教国家・島根を訪れたビスコたち。しかし――そんな一行の前に野望の不死僧正・ケルシンハが立ちはだかる。不意打ちで胃を盗まれたビスコの余命は、僅か――五日!? 暴走した《錆喰い》体質で心臓にキノコが咲けば即アウト! 相棒・ミロとともに様々な宗教ひしめく島根の中枢《出雲六塔》に潜入した彼らは、はたして無事、元の身体を取り戻せるのか。そしてかつて立った頂点奪還を目論むケルシンハの暴虐に、相棒の絆は打ち勝てるのか――!? 熱い絆で射貫く怒涛の冒険譚、再び!

1巻が出るや否や世のラノベ読みを激賞の渦に叩き込んだ超熱血バトルアクション、待望の第2矢。
今回の舞台は一大宗教国家・島根! 出雲の頂点に返り咲かんとする老仙人ケルシンハに胃を奪われたビスコ! ミロや新たな仲間たちとともに六塔を駆け回り胃を奪い返せ!
最初から最後までハイテンション、血と涙とキノコと臓物とあと色んなものが乱舞する。前巻に続きガンガン読ませてくれるよなァ!


関東~東北を渡り歩いた前巻とは異なり、島根の出雲六塔が全ての舞台。変わり果てた世界での旅物語という楽しみの代わりに(これがないのはかなり残念である、正直なところ)、一つの街での戦いをこれでもかと凝縮して詰め込んで、前巻以上の熱を生み出していました。やれ、見事や見事。
すっかり相棒が板についたビスコ&ミロの今回の敵は萎れた老人! しかし隙をついて「胃」を奪われてしまうビスコ! 老僧ケルシンハはビスコの胃から力を得て、追い落とされたかつての栄光の座を狙う!
主人公の胃をエサに奪われた五臓を取り戻していく老人ってもはや何を言っているんだか分からんのだが、読んでいると不思議と違和感を覚えないんだなあ。エネルギーに満ちた文章の圧が「そういうもんだ」という強い説得力になっている。みんな言ってる陳腐な褒め台詞を今更言いたくはないんだけど本当に新人賞作なのかコレは???(驚愕)


ケルシンハより先に彼の五臓を奪取すべく、各宗教が支配する六塔へ侵入するビスコにミロ、そして不思議な仙医の少女アムリィ。
どこへ行っても波乱とドタバタがあり、思わぬ再会があり、勝利と敗北と裏切りと信念があり、まったく飽きさせない。むしろずっと読んでいると疲れてくるレベル。ワイも年を取ったもんやで(ヨボヨボ)。
敵手たるケルシンハがまた妙に格好良いのである。一本芯の通った悪はそれなりの魅力を放ってくれる。数万の信者の力をただ自らの欲望のためだけに使わんとする悪のカリスマの恐ろしさよ。
もちろん、我らがビスコとミロも負けちゃいない。ミロに絶対の信頼を置くビスコビスコのために全てを欺く覚悟で戦いに臨むミロ。深い絆で結ばれた両者と圧倒的邪悪たるケルシンハとの信念と信念のぶつかりあい。ページの奥から熱量が湧き出してくるようであった……。
熱に浮かされてちと褒めすぎたような気がしないでもないんですが、まァつまるところ、面白かったです。つい真言口ずさみたくなっちゃうくらいにはね。次巻も楽しみにしてます。


チロルちゃんのトリックスター感すごい好き。