まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『我が驍勇にふるえよ天地7 ―アレクシス帝国興隆記―』感想

ストーリー
アドモフ帝都を目指し進軍を続けるレオナート。しかし東より迫る新たなる脅威――草原最強の騎馬軍団クンタイト・ダラウチ氏族襲来! さらに若き皇帝ウィランがただひとり友と呼ぶ男、眠れる獅子ダノールが国家防衛のために目を覚ます。だがレオナートは自覚していた。強敵との出会いに武者震いをする己を。そしてこの一戦が歴史に深く刻みこまれるであろうことを――「我ら、これより神話に入る!!」あまねく神々よ照覧あれ、我が驍勇にふるえよ天地! 宿敵アドモフ帝国征服に挑むアレクシス軍飛躍の戦い、成るか? 魔法がないから熱く燃える痛快戦記、激闘の第7巻!

アドモフ帝国との一大決戦! シリーズ屈指の盛り上がりを見せる第7弾。
新たに現れた強敵騎馬軍団さえも味方に付け、天を衝く勢いのレオナート軍。後がないアドモフ軍だが最後に残った帝国一の才能が八面六臂の奮戦を見せる。
そして迎える両国の英雄による一騎打ち。熱さもここに極まれりといった様相で、胸が大いにふるえる素晴らしい巻でした。


アドモフ皇帝ウィランが招き寄せた最強の騎馬軍団。レオナート軍さえも一度はあしらってみせた草原の覇者たち。
そんな彼らに対しての反撃は、システィナやシオンの異能であり、ジュカの智謀であり、ガライの弓であり、そしてレオナートたちの武勇であり。
レイヴァーンをして多士済々と言わしめるレオナート軍のタレントの多さよ! 皆がそれぞれの活躍を見せて強敵を打ち破っていく、これこそが戦記の醍醐味ですわなあ。多くのキャラクターを出すのも長くシリーズが続いたからこそできることです。数巻で終わってしまう戦記ものが散見される昨今、こういうシリーズが生まれてくれるのは嬉しいね。
思わぬ理由によるものとはいえ、アドモフとの決戦を前にレゴ戦術攻略に重要な騎兵隊が追加されたのはなんというか運命的じゃないですか。時代がレオナートを求めていると思えてしまうほどの勢いがある。展開の妙というか、物語の盛り上げ方が上手いよなあ。あとナランツェツェグさんの押しかけ女房感好きです。


アドモフ帝都は目の前にあり。レオナート軍の前に立ちふさがるはアドモフ軍最後にして最高の才能・ダノール。
ずっと周囲から軽んじられてきた男が、祖国最後の戦場でその類稀な才能全てを披露する。軍を率いる将としても、また個人の武勇としても圧倒的であり、敵ながら非常に魅力的で、アドモフとの最後の戦いの相手にふさわしい強敵でした。
ほぼダノール個人の才能で持ちこたえるアドモフ軍に対し、レオナート軍はまさに総力戦。レオナート麾下とレイヴァーン麾下の各将が見事な連携を見せてレゴ戦術を打ち崩していく様が熱い。
そして決着の付け方がこれですよ。いやー粋だね皇帝! それを受けるレオナートとシェーラも! 伝説伝承というものはこうでなくっちゃね!
最強同士の戦い。全力。素晴らしかったです。軍と軍の戦いも個人と個人の戦いも、間違いなく、シリーズで一番燃える1冊でした。拍手。


おいおいエピローグまで粋かよ。なんだよ完璧なのかよ。