まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『百錬の覇王と聖約の戦乙女』感想

百錬の覇王と聖約の戦乙女 (HJ文庫)

百錬の覇王と聖約の戦乙女 (HJ文庫)

ストーリー
戦乱の黎明世界「ユグドラシル」に迷い込んだ現代の少年、周防勇斗。弱肉強食、幾多の氏族が覇権を争うこの世界で、勇斗は現代知識を武器にわずか十六歳にして数千もの軍勢を率いる宗主にまで昇り詰めていた! 異世界で王になった少年と、盃の契りを結び彼に絶対の忠誠を誓う麗しき戦乙女たちが織りなす、痛快無双ファンタジー戦記、ここに開幕!!

TVアニメ放送中のライトノベルを読んでいこうキャンペーン。戦記ものスキーとしてずっと気になりつつも読めていなかった今作、いつの間にやらロングシリーズになってしまってこういう機会でもなければ手を出せなかったのでアニメに感謝(見てないけど)。
謎のファンタジー世界に飛ばされた少年が、なぜか繋がるスマホから得た現代知識を頼りに、氏族の長として戦乱の世を生きていく戦記ストーリー。
多少のツッコミどころもありつつ、数々のオーバーテクノロジーを用いて強大な敵を打ち破っていくのが気持ちの良い1冊でした。


主人公・勇斗が不思議なファンタジー世界に転移してから2年後。スマホの知識を頼りに生き抜いてきた勇斗は《狼》の氏族の宗主までのし上がっていた!
異世界転移なのにスマホが使えて知識で「チート」しちゃうとか、転移後から宗主になるまでの2年間を全部すっ飛ばしてるところとか、やたらWeb小説っぽいなと思いながら読みました。2013年の作品なのに今アニメ化している理由がわかるというか、最前線を走ってる感じがするぜ(とかいいつつ今の流行は知らないのだけど)。
個人的には、スマホ以外何もない状態から王になってしまった経緯を詳しく見たいと思うのだけれど、最初から大規模な戦をやってくれた方が派手だしね。戦記ものの新シリーズにありがちな「本格的な戦いが始まる前に打ち切られちゃう問題」を考えると、これも生存戦略なのかもしれませんな。
スマホが繋がるのはそういうもんだからいいとして、調べただけで製鉄までできるもんかなともちょっと思いますが……まあ《狼》の人々が優秀だったということで。


孫子を読んで戦に臨み、マキャベリを読んで王として動く。戦力で勝る敵に対して相手が知らない戦術や道具を用いて華麗に勝利する。いやーズルいね! ズルいけどやっぱり痛快なんですわ、知識チート。
それに勇斗はただズルいだけではありません。自分がチートをしていることをきちんと分かっていて、内省するだけの思慮深さがある。そして土壇場では16歳の少年とは思えないほどの威厳を発揮したりもする。こういうところを見ると、彼が単純にスマホの知識だけでのし上がってきたのではないということが察せられます。
宗主たる勇斗の脇を固めるキャラクター陣も魅力的ですね。文武ともに満遍なく優秀な副官のフェリシア(美少女)に、《狼》でも最強を誇る武人のジークルーネ(美少女)。そして《狼》と争って新たな「妹」となった《角》の宗主リネーア(美少女)。美少女ばっかりやんけ! 知ってた!
年若い女の子が敵陣に突っ込んで無双するの大好きマンとしてはやはりジークルーネを推したいところです。敵味方共に恐れられる将でありながら「父」たる勇斗の前ではワンコみたいな可愛らしさを見せてくれるのがいい。
しかし勇斗には元の世界に想い人がいる。それでも普通なら異世界の美少女たちに落とされてしまいそうなところですが、勇斗の場合は夜な夜なその相手と電話ができちゃうというのがデカいですよね。どうするんだろ。
恋愛方面もそうですが、戦記ものの常で続きがとても気になります。頑張って追いかけようかな。


イラストはゆきさんさん。戦いの場面もしっかり描いてくれていて良かったですね。
美月ちゃんの胸、ちょっと中三とは思えないな……。


アニメも見れたら見ます(フラグ)。