まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『僕専属のJK魔女と勝ち取る大逆転』感想

ストーリー
魔法が実在する世界。魔法の乗り物を用いたレース競技で、かつて「最強」と呼ばれながら引退した少年・明日葉進也はある日、東雲早希という魔女と出会う。自分とペアになってレースに復帰してほしいと進也に頼む早希だが、魔女の才能に恵まれなかった彼女の魔法は「進也に3秒先の未来を見せる」だけのささやかなものだった。しかし彼女の魔法に意外な可能性を見つけた進也は、伝統あるレース「大如月祭」での一発逆転を目指す――! !

第11回HJ文庫文庫大賞<銀賞>受賞作品。人間の主人公と魔女のヒロインがタッグを組み、空飛ぶ魔法の乗り物「ブルーム」のレースに挑む現代ファンタジーアクション。
ブルームにトラウマのある少年。魔法にコンプレックスを抱える少女。そんな2人が努力と工夫で、自分たちをバカにしてきた奴らに一糸むくいていく展開が熱くてよかったです。
文章面では多少荒削りな部分もあったけれど、次第に深まっていく2人のストレートな恋愛描写や、魔法飛び交う華やかなレースの描写は好みでした。


人間の操縦者と魔女の魔力が揃ってはじめて動く新時代の魔法の箒「ブルーム」を用いたレース競技「ブルームレース」が人気となっている世界。
主人公の進也は幼少期にレースで最強コンビの片割れでありながらもブルームを降りた少年。そんな彼とラブコメ的な出会いを果たした魔女の少女・早希。
近くの相手に3秒先の未来を見せるというちょっとした魔法しか使えない落ちこぼれ魔女の早希だけれど、彼女にはどうしてもブルームレースで勝ちたい理由があって、かつての天才的操縦者である進也に自分とブルームに乗ってほしいと頼み込むのでした。
かつて無敗を誇りながら、進也がブルームを降りた理由。それは世間の目がコンビの天才魔女ばかりに向いていたこと。操縦者の才能に、コンビを組んだ幼馴染みの魔女ですら、気付いていなかったこと。
でもそんな才能を、テレビの向こう側で見出してくれた少女がいた。進也がどれだけ断っても、しつこくしぶとく追いかけてくるくらいに、進也に惚れ込んでくれた人がいた。
それは、一度レースをやめた少年がまた復活するには十分な出来事でした。誰かに求められるって、予想外に大きなエネルギーになったりするよね。


ブルームレースという発想はとてもいいですね。レースもののライトノベル自体ほとんど読んだ覚えがないのですが、魔法をバンバン打ち合いながらリングをくぐっていく空飛ぶ箒たちの姿を思い浮かべると非常にテンションが上がってくる。オリジナルの魅力に溢れた設定だと思います。
早希の魔法は、近くの人に3秒先の未来を見せるという、ほんとうにちっぽけな魔法。直接の攻撃魔法が次々に飛んでくるような暴力的高速レースで、その魔法が果たして役に経つのかとも思ったけれど、頼れるパートナー・進也の存在がそれを可能にしていくのです……。くぅー、熱いね!
すれ違いもあった。挫折しかけた時もあった。けれども、やっぱりお互いがお互いを必要としていて、2人だからこそ手を伸ばせる願いがある。
運命のレース。優勝候補は他ならぬ、かつての進也のパートナー・蘭奈。幼馴染みであり大切な友人でもあり、そしてこれまで接触を避けてきた相手でもある彼女に目に物見せるため、進也は奮い立つ。圧倒的破壊力を持つ彼女の魔法にどう立ち向かうか。燃えるレース展開に手に汗握りました。
2人の夢はまだ始まったばかり。関係性もちょっと進んだ2人の戦いを、ぜひ次巻以降も読んでみたいな。期待しています。


イラストは装甲枕さん。ちょっと淡い感じで素敵なイラストでした。
欲を言えばもっと枚数が欲しかったー! レース場面のイラストとか見たかったです。


ロローナさん好き。