まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『→ぱすてるぴんく。』感想

→ぱすてるぴんく。 (講談社ラノベ文庫)

→ぱすてるぴんく。 (講談社ラノベ文庫)

ストーリー
他人との関わりを避け、ぼっちとして暗い高校生活を送る軒嶺緋色には彼女がいる。ネット恋愛の恋人・楢山スモモだ。決して会うことは叶わないはずだった二人。けれども迎えた新年度、緋色が自宅のドアを開けると、そこには“ネット彼女”のスモモがいて――!?
「わたし、引っ越してきちゃったんです」「……なんですとっ!?」
ネットの彼女がリアルの彼女になったそのとき、物語は動き出す。夢にまで見た恋人とのパステルピンクな学園生活が、ぼっちの殻をぶち壊す! けれどもそこに潜むのは、緋色の“元カノ”の影……? どれだけ痛くたって、これが僕らの恋愛だ! ネット恋愛→学園ラブコメな炎上系青春ストーリー、いよいよ開幕!

先日本山らのちゃんねるの読書会放送を見ながら


とか迂闊にもツイートしてしまったら作者と担当編集に「いいね」されてしまったので読みました。僕たちは監視されている。も、元々読むつもりだったんだからね!(※ほんまやで)
第7回講談社ラノベ文庫新人賞<佳作>受賞作品。ネット越しに付き合っている彼女が突如自分の高校に! 目立ちたくない陰キャ主人公と恋人との日常にはしゃぎまくるヒロインとの思いが交錯する不器用青春恋愛ストーリー。
ブログで知り合いSkypeで恋愛しインスタで炎上する、イマドキな恋人の形をある面ではこっ恥ずかしくある面ではリアルに描きだす作品でした。


ネットで知り合ってSkype通話でお付き合いを始めてから1年。愛媛にいたはずの彼女が突然自分の通う千葉の高校にやってきた!
すげーわ恋する女の子の行動力。高校1年生女子のバイタリティとは思えないね。ずっと会いたくても会えなかった彼氏と会えてテンション爆上げのスモモさん可愛らしい。でも一人暮らしを始めた自宅に早速緋色の分の食器や衣類や布団を用意しておくあたりはちょっと怖い。やる気有りすぎィ! 愛が重いぜ……。
一方の緋色は、スモモとの邂逅を喜びつつもどこか落ち着いているというか、彼女とはテンションがズレている印象で、なんか妙にリアリティがあって嫌だなー……という感じ。まあね、いきなりこうグイグイ来られたらちょっと引いちゃう気持ちもめっちゃ分かるんですけど。でも好きあってるんだしさ、もっとあかるくたのしく彼氏彼女そろってバカップル♪ みたいなラブコメを見せてくれよーとも思ってしまいます。


高校生カップルの幸せな毎日。でも何か大変なことが起きてしまいそうな気配はずっとあって、そしてやっぱり、致命的な事件に行きついてしまう。
スモモの天真爛漫な愛情表現は愛でられるべきものだけれど、やっぱりどこか危ういところもあった。そして緋色はそれをきちんと受け止めることができていなかった。
もちろん周囲の無神経な奴らにも思うところはいっぱいありますが、起きてしまったものは仕方がないんですよ。そこですぐに愛する彼女のために走り出せなくて何が彼氏なんだよ、お前があの子の王子様なんだよ、ウジウジしてるんじゃないよ! ……とまあ、ザ・陰キャな緋色にはさんざんイライラさせられましたわ。
緋色の元カノ・渚がここで非常にいい働きを見せてくれました。もう言いたいこと全部代弁してくれたというか。てか初恋エピソードといいこのそんな役割ぶりといい、この子めちゃくちゃ「いい女」じゃないですか……なんでサブヒロインなんだよおおおお。
元カノに背中を押されて緋色はようやく動きだす。イタくて何が悪い。僕は評価するぞ。周りの目なんか気にすんな、ドヤ顔でふんぞり返ってやれ。思春期の恋愛なんだから思いっきり痛々しくやりきってしまえばいいんじゃ! 青春してんなー、少年。


イラストは和錆さん。表紙イラストが印象的でいいですねー。
キャラデザでは断然渚が好きなんですけど、特にP243の彼女は最高でした。


にしふなうー!