まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『魔法少女さんだいめっ☆』感想

魔法少女さんだいめっ☆ (ガガガ文庫)

魔法少女さんだいめっ☆ (ガガガ文庫)

ストーリー
「やーい、おまえの母ちゃん魔法少女ー!」幼い頃から魔法少女の息子としてからかわれてきた少年、ハル。ついに母親、ぷるりら☆遥奈が引退すると聞いて歓喜したのもつかの間、まさかの二代目契約を結ばされてしまう! 絶対に魔法少女になりたくないハルは、全力で三代目を探すのだが……?
「私は夢見草満咲。魔法少女になる女です!」ハルが出会ったのは、熱狂的な魔法少女オタクながら“才能ゼロ”の満咲だった! 桜舞う町で、新たな魔法少女物語が幕を開ける――。熱血にして爽快! マジカル☆夢追いラブコメ

第12回小学館ライトノベル大賞<ガガガ賞>受賞作品。
魔法少女嫌いの少年が、魔法少女を全力で目指す少女と出会い、そのまっすぐな眩しさに魅せられていくファンタジック×熱血魔法少女ストーリー。
才能のなさを全開の「好き」でカバーしていく、非常にエネルギッシュかつパワフルなヒロインがとても魅力的な1冊でした。


魔法少女・ぷるりら☆遥奈が悪魔の手から地球を救って20年。2児の母になった魔法少女(37)は引退の危機に迫られていた!
37歳の魔法少女(?)ってそれはそれでアリかなとか思ってしまうんだけれど、まあ実の息子からしたらたまったもんじゃないですわな……。しかも詐欺まがいの契約で勝手に「二代目」にされちゃってはな……。
そんなわけですっかり魔法少女嫌いになってしまった息子のハルくんですが、高校の入学式でとんでもない魔法少女マニアの少女と出会ってしまうのです。
やってきた悪魔に対して全校生徒の前で変身しようとしてみせて、魔法少女じゃないから当然変身なんてできなくて、傍から見たらただのイタい奴でしかない。
でも、満咲の「魔法少女大好き」「魔法少女になる」という気持ちは誰よりも純粋でまっすぐで、そんな姿を見ているとつい応援したくなっちゃう。がんばる女の子より眩しく輝くものなんてある? いやない(反語)。


ハルの導きで晴れて魔法少女見習いになった満咲。「好き」が高じてなっただけだから、絶望的に才能がない! でも彼女は決して諦めない!
魔力を高めるために基礎練が必要だからバットの素振りも全力でやるし、悪魔にやられたって落ち込まないですぐに立ち上がる。原動力はもちろん、魔法少女が好きって気持ち。テーマこそ魔法少女だけれど、やってることはほぼスポ根ですわ。
もちろんハルくんや読者である僕らは、好きってだけで何もかも上手くいくわけじゃないってことを知っています。でもさ、満咲の姿を見ていると、たまにはそんな夢見てもいいんじゃないかって気持ちになってくるんですよ。誰よりも好きならばきっと願いは叶うってね……(ワイン片手に夜空の月を見上げながら)。
満咲と対照的な悪魔サイドヒロイン・散華との対決は見ものでした。好きと好き、信念と信念のぶつかり合い。そしてその先にあるもの。譲れないものを持った女の子同士の大喧嘩……素晴らしく美しい……。
それからもちろん、ラストバトルもね! 最大級のピンチに颯爽と駆けつける真打ち! ひゅー痺れるぅ!
まあ当然こうなるよねとは思っていましたが、「彼女」の予想以上の強さには笑ってしまいました。立場が一層混沌としてしまったハルきゅんの明日はどっちだ。


イラストは風の子さん。緑色の魔法少女服、いいじゃないですか! ワゴンセール品とは思えん可愛さ!
ちょっと涙目になりながら名乗りを上げているP181のイラストが個人的ベスト。


つくしちゃんと梢恵にはまだまだ裏設定があるんでしょ、僕知ってる。