まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『異世界行けない委員会』感想

異世界行けない委員会 (ファミ通文庫)

異世界行けない委員会 (ファミ通文庫)

ストーリー
昨今、異世界からの過剰な召喚が世間を騒がせている。貴重な人材が大量流出し、政府としても対策を余儀なくされていた。そして、ついに対策チームが結成されたのだが、チームのエース鷹広は異世界召喚を妨害しながら、一方で自分が異世界に旅立とうと画策しているのだった! そんなある日、異世界への誘拐事件が発生! 鷹広はこれを異世界転移の絶好の機会だと考えるのだが!? 異世界に憧れるすべての人たちに贈る、異世界に行くまで物語、登場。

更伊俊介先生の新作じゃー! ひさしぶりー!
異世界からの召喚過多へ対処する組織に所属する主人公が、人々の異世界召喚を阻止しつつも隙あらば自らが異世界へ飛んでいこうと画策する現代ファンタジーコメディ。
設定やキャラクターは魅力的なぶん、内容がわりと淡々としていたのは少しもったいないかなあ。1巻まるごとキャラクター紹介みたいな部分もあったかと思うので、次巻以降はさらに楽しくなりそうなんですが。


異世界召喚の件数が増え、世界を救うような使命だけでなくどうでもいいお使いのような頼みでも召喚されるようになってしまった世界。
そんなお気軽異世界召喚を阻止するべく働く組織「異世界行けない委員会」に所属しながらも、実は誰よりも異世界に行きたがっているのが主人公・鷹広なのだ!
幼い頃に親友が目の前で異世界召喚を受けて、友達がいなくなったからではなく自分が異世界に行きたかった、羨ましい、という方でショックを受けたという筋金入り。ひでえ。異世界召喚の現場にいち早く到着し、あわよくば自分が魔法陣に飛び込んでやる……というのを目的に組織に入ったというんだからその思いは半端じゃないですわ。
いやそんなに異世界って行きたいもんですかね? わりと帰ってきてる人もいるみたいだし、ちょっとレアな旅行気分なのか……。まあ確かに、世界とか救わなくていいんなら逆にお気楽でいいかもしれない。


兄を異世界に連れ去られた後輩ヒロイン・隼瀬、過去何度も異世界召喚を受けいくつもの世界を救った英雄・史雄、そして異世界から逆にやってきた謎のスライム状生物・ポチ。
そんな個性溢れるメンバーが集う委員会は、活動の内容も実にさまざま……というかむしろどうでもいい仕事多すぎない? 異世界召喚防止のチラシ作りとかグッズ監修とか現場担当のやる仕事なの? 窓際部署なの? 異世界召喚自体がそもそもカジュアルなせいか、仕事に緊張感がまるでないのが一周回って面白いです。
ということでお話のスタンスとしては基本コメディ、ちょっとシリアス……と見せかけてやっぱりギャグ、って感じだと思うんですけど、肝心のギャグが更伊先生にしてはちょっと薄味だったかなという印象。もっとキレキレの、読者がついてこれないくらいのギャグを見せてくれていいんですぜ。
まあ隼瀬の件とかね、ライラさんとかね、あの子とかね、キャラクター紹介が話のオチになっていたということもあるので、本番は次巻からなのかなとも。いやほんと、続いてくれさえすれば、もっともっと笑わせてくれるはずなんですよ。信頼してるんですよ。頼むぜー。


イラストは有河サトルさん。表紙の隼瀬が非常に魅力的ですな!
ジト目無愛想ヒロインいいんじゃー。


イセカイカ、キモかわいいとかいう次元じゃねえな。