まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか』感想

ストーリー
同じクラスの庄川さんは魔光少女だ。(すごくかわいいい!)彼女の身バレを防ぐために、完璧フォローを誓った僕だけど、『クラスのど真ん中で変身しようとしないでくださいぃぃぃ!』超弩級のうっかりさんだった! もっと細かなフォローをするためには、常に一緒にいるぐらいの心構えでいなくては……。「庄川さん!(物理的に)付き合ってください!」「あ、はい」よし! これで、一緒にお昼を食べたり、下校したり、遊園地に行ったり――お助けキャラとしてフォローは完璧だな! ……ん? 恋人同士? いやいや、お助けキャラに彼女がいるわけないじゃないですか。無自覚だらけの勘違いラブコメ

今年の新人賞作品を読もうキャンペーン継続中! 今回オススメしてくれたのはがれくん(がれ (@Galle02) | Twitter)。ありがとぅー!
第30回ファンタジア大賞<金賞>受賞作品。自分の正体に無防備すぎる「魔光少女」へのサポートから始まる勘違いまくりラブコメディ。
笑った笑った。4人の男女がそれぞれぶっ飛んだ方向に勘違いしたままどんどん話が進んでいく。それでいながらちゃんとニヤニヤもさせてくれる良きラブでコメな1冊でした。


ご町内の平和を守る「魔光少女」の正体はなんとクラスメイトの女の子だった!
あまりにポンコツすぎて日常的に身バレの危機に晒される彼女・庄川さんを、本人には悟られずにサポートしようとする主人公の平地くん。
ところが、彼女の近くにいるために勇気を振りしぼって行った友達になってください宣言を愛の告白と受け止められてしまう!(本人は気づいていない)
……という具合で、言葉足らず&ありえない方向への思い込みが連鎖しまくった挙げ句に作り出された4人のキャラクターの歪な関係性に、ただひたすら「こいつら何やっとんじゃ」とツッコミを入れていくのが楽しい。
脇から2人の関係を賑やかす隠れBL愛好家里崎さんと恋愛脳イケメン空橋くんも、まあ大概なんですが、やっぱり庄川さんのトンチンカンぶりと平地くんのアホっぷりが群を抜いていて、いや、なぜ相手がこう出ているのにその思考に結びつくの……? というカオスギャグ時空が延々と続きます。誰か1人でもいい、気づいてくれえええ!


平地くんはド級のアホですが、誰よりも誠実な男であることに間違いはありません。心から庄川さんのことを案じ、自己犠牲もためらわずに彼女を支えようと思っている。その芯の部分でずっと変わらないのがいいですね。
しかし、あくまで相手をサポート対象と見る平地くんからの視点と、恋愛対象と見る庄川さんからの視点では、ただの勘違いでは済まされない、絶対に相容れないすれ違いがある。
やがて訪れる運命の瞬間。その時、男の子は思いを貫くことができるのか。
いやあ、なんだかんだで君はいい主人公だったよ平地くん。まあ、アホなんだけどね。
事件は一段落しても厄介な関係性は全く解決の芽を見ておらず、今後の展開が大いに気になるところ。どうやらすでに2巻が出ているようで、早めに読みたいですね。


イラストはsuneさん。地味っ子・イメチェン後・魔光少女と三段階の庄川さんの変身ぶりが楽しかったです。
マホマホの活躍ももっとイラストで見たいところ(でも結局地味な絵面にはなりそう)。


しかし平地くん、モブ男子にしては女子褒めスキルガン高だな……。