まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『神名ではじめる異世界攻略 屍を越えていこうよ』感想

ストーリー
平和だった高校が、ある日突然謎の霧に包まれる。竜崎時雨人は、取り残された憧れの先輩を心配するあまり校内に突入するが、そこはモンスターが跋扈する異世界の迷宮となっていた! 早速襲われピンチに陥る時雨人。しかし彼の放った攻撃が驚異的な力を発揮する。そう、この迷宮では、その者の持つ名前によって様々な力が付与されるのだ。竜と英雄、二つの最強の力を得た彼は迷宮攻略に乗り出すのだが――。死と裏切りに満ちたサバイバル・ファンタジー登場!

脱出不能の異世界ダンジョンと化した学園で繰り広げられるサバイバルバトルアクション。
予想していたよりだいぶ殺伐としたストーリーでしたが、名前が能力に変化するという設定は中二力高くてとてもいい!
好きな女の子のことしか考えていない脳筋主人公がちょっと鼻についたかなあ。


突如異世界のダンジョンとドッキングし、外の世界と断絶されてしまった学校。皆から一足遅れてやってきた主人公・シグルは、最愛の先輩・真美加を探し出すべく冒険を始める。
なんだこの主人公は……。こいつガチで先輩のこと「しか」考えてねえ。いや、惚れた相手のために謎のダンジョンに飛び込んでいくのはそれなりにカッコいい部分もあると思うけどさ。二言目には「真美加先輩が」って言いだすし、先輩へのお土産だからってパイナップルケーキを頑なに渡そうとしないし、この極限状況なのにさすがに周りが見えていなさすぎるのでは。正直ドン引きです。
恋のエピソードがしっかり進んだ後ならば、まだ納得できたかもしれませんが、付き合ってすらいないのに(!)いきなりこんな単細胞ぶりを見せられてもという感じ。どうも好きになれない主人公でした。


名前が能力を表す異世界だから、名前の意味によって個々の能力が変わってくるという設定、大好きです。「竜崎」だから竜を召喚できるとか、「剣也」はいくらでも刀剣を出せるとか、サイコーでしょ!
一方、不穏なサブタイトルに気付かずに読んだので、登場人物たちがあっさりと、次々に命を落としていく展開にはちょっと驚きました。台詞があろうが、パーティーメンバーだろうが、やられる時はやられちゃうし、なかなかに容赦ない。
そんな彼らの命を奪っていくのは、もちろんダンジョンの仕掛けやモンスターもそうなんだけれど、一番は人間同士の対立だったっていうのがまたエグい。せっかくの能力をそんなことに使ってしまうのかと切なくなってしまいます。まあこんな状況で2ヶ月もいたらなあ。色々と変わってしまうよなあ。
物語はなかなか意外な方向へと進みましたが、今後は完全に異世界のお話になっていくんでしょうか。名前と能力の設定はどうにか2巻以降も活かしてほしいんですけど、地球の人間はもう出てこないかな……? ヒロイン・イファは純粋に可愛かったので、彼女の活躍には期待しています。


イラストは三弥カズトモさん。可愛さと格好良さの同居した素晴らしいイラストでした。
ドラゴンやモンスターとの戦いの場面もしっかり描いてくれていて嬉しいですね。


当然自分の名前で妄想しちゃうわけだけど、うん、ペンキをぶちまける能力か……(弱そう)。