まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『俺の立ち位置はココじゃない!』感想

俺の立ち位置はココじゃない! (ガガガ文庫)

俺の立ち位置はココじゃない! (ガガガ文庫)

ストーリー
かわいらしい顔と低めの身長が愛らしい少年・須永公平。彼は「カッコイイ男(≒王子)」を目指して、高校デビューを目論んでいた。ところがどっこい、受かった先の高校で、いかにも王子なイケメン女子・新海光瑠にであってしまう。勝手に彼女をライバル扱いする公平だったが、その少女もまた、かわいいと思われたいのに王子扱いされてきた、可哀想な過去があり……? カッコイイ男になりたい「姫系男子」と、可愛い女の子になりたい「王子系女子」。二人の報われない少年少女が織りなす、立場入れ替え系残念学園ラブコメディ!!

王子様になりたい姫系男子とお姫様になりたい王子系女子の学園ラブコメ
周りから求められる立場と自分がなりたい人物像のギャップというのは、誰しもに持ちうる悩みでしょうが、この2人は極端すぎる。
そのまま姫系男子、王子系女子のままでいれば大人気なのだから、それでいいじゃんと思ってしまうけれど、茨の道でも自分の気持ちに素直になって走り抜いてこその青春である、とも言えますか。


男子校の中等部で3年間、不本意ながら「姫」として君臨した姫系男子の公平。
女子校の中等部で3年間、天然の言動で「王子」として君臨した王子系女子の光瑠。
そんな2人は、高校の入学式の通学路、桜並木の下で運命の出会いを果たす――。ってこれ、完全に少女漫画のシチュだ! なぜか男子と女子が反対だけど!
いやあ、男女立ち位置入れ替えもそうですけど、「六花」なる超絶イケメンと美少女揃いの謎グループが学園のトップに君臨していたり(しかも二つ名付きで)、何かと少女漫画チックなラブコメ設定が目立ちますね。あ、大好物です。ドモドモ。
お互いに自分の立場に納得していない男子と女子が、理想の立場を手に入れるために共闘する。いいじゃないですか。恋の芽生えに期待しちゃうじゃないですか。大好物です。ドモドモ。


どうにか王子様になりたいと、特訓した俺様キャラを通そうとする公平はまだいいんですが(めっちゃイテぇけど)、天然の立ち振舞いが完全無欠に王子様入っちゃってる光瑠の壁はなかなか分厚いですわ。笑えるくらい格好良いもん。トゥンク……。
そんな2人が、六花の補佐役として自らのキャラクターとは正反対の仕事に挑み、少しずつ自分の新たな魅力を周囲に見せていく。必ずしも成功ばかりではないけれど、王子とか姫とかではない、「公平」と「光瑠」の素敵な一面がだんだんと表れてくる中、周囲の人たちの目も変わっていく幸せな世界にほっこりしました。
あとやっぱり気になるのは、他の六花たちですね。玲奈や姫子は純粋に可愛いのでもっと出てきてほしいし、腹黒帝王・道頼の思惑も注目ポイントだし、それ以上に明らかに裏がありまくる白雪姫こと亜衣が気になって仕方ない! というか公平はいい加減亜衣の不自然さに気付け!
賑やかすぎる学園で、公平と光瑠は求める立ち位置を手にすることができるのか。もちろん恋愛方面も、期待しています。


イラストはおしおしおさん。光瑠の描き方が実に素晴らしい!
可愛い場面では可愛く、格好良い場面では格好良く見える、絶妙なバランスのキャラデザだと思います。


ザイルへの信頼感、わかる。