まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『弱キャラ友崎くん Lv.5』感想

ストーリー
教室での一件を受けて、まさかの師弟関係と相成った俺とたまちゃん。表情、姿勢、喋り方。俺は師匠として、自分が『リア充』になるために重ねてきた努力とノウハウを、たまちゃんに伝えていく。一方、日南は日南で、裏でなにやら動いていて――。相反する考え方で問題に向き合う俺たちは、やっぱり協力はできない。でも、『大切な目的のためなら、自分を曲げるのも辞さない』こと。この戦い方はきっと、俺が誰かさんに教えてもらったことなのだ。――大人気人生攻略ラブコメ、待望の第5弾!

たまちゃん奮闘編。今回の主役は友崎でも日南でもない! たまちゃんの魅力全開の巻でした。
さすがに友崎だけでは限界のある中、たまちゃんと友崎のために次第にチームメイト(?)が集まってくるの、これまで友崎が培ってきたものが表にあらわれてきてくれた感じで、いいですね。というかやっぱり水沢の強力助っ人ぶりがすげーんだわ……。
一方、友崎とは全然別の方面からクラスを動かしていた日南さんだけれど、なんなの超こわい。これが強キャラの本気か。


紺野をトップとしたクラスメイトたちとたまちゃんの確執。
たまちゃんから弟子にしてくれと頼まれた友崎は、自分を変える方面から。そしてたまちゃんのまっすぐなところを美徳とする日南は、クラスを変える方面から。問題を解決しようと取り組んでいきます。
ということで、今回の日南は協力者ではなく、むしろ競争相手のような感じ。頼りになる師匠から助言を得ることはできません。
そこで早々に行き詰まった友崎が頼ったのは、ある意味では日南よりも頼りになるかもしれない彼、そう、強キャラ水沢くん!
いやあ、水沢ホントできる男ですわ。その辺にいるしゃらくせえリア充とは違うね。明確に上に立ちつつもちゃんといい奴っていう如才なさがえぐい。
しかし、そんな水沢も、それから竹井や、まさかのあの子を「チーム友崎」に引き込むことができたのも、これまで友崎がやってきたことの証です。水沢だけが凄いんじゃない、友崎もがんばっているんです。


友崎、水沢、そして"あの子”の観察と助言を受けて、少しずつ話し方やクラスとの関わり方を模索していくたまちゃん。あ、竹井はほら、竹井なんで……。
少しずつ明らかになっていく「彼女がなぜクラスと打ち解けることができないのか」という理由と、その対処と。人間関係というふわふわしたものを、実にロジカルに考えて解決策を提示していく描写は、さすがと唸らされました。
もしかしたら結構上手く行っているかも、そんな期待の中で巻き起こってしまう致命的な事件。ここまで来てしまっては、さすがに友崎では……というところで動くのが、我らがラスボスですよ。
こっわ! 日南さんこっわ! どんだけ空気をコントロールしてんだよ……もはやリア充とかじゃないよ、エアコンだよ……。
やはり最後に立ちふさがるのは彼女。紺野なんかメじゃない。日南こそがラスボスの名を冠するにふさわしい。謎多きヒロインはまだまだ色んな顔を持っているのだなあ。
そして、その日南が作り上げたクラスの空気を変えてみせたたまちゃん、君はやっぱりサイコーですよ。


巻末スペシャルSSの尊さ(伏し拝む)。