まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『ロクでなし魔術講師と禁忌教典10』感想

ストーリー
現世への復活を果たした魔人・アセロ=イエロによる、フェジテ崩壊の術式――【メギドの火】。その発動を防ぐべく、グレンたちは、学院、そして宮廷魔導士団の総力を結集する。「やつを倒す可能性のある手段は……ある」グレンのワイルドカード。その切り札を使用するために、グレンはもう一度、血に染まった過去の自分と向き合うことに。「ここに居ちゃいけないんだって……皆に甘えていた」そして、その出自が周囲に知れわたり、身を犠牲に戦うことを決意したルミアの前には、もうひとりの自分が現れ……世界が破滅に向かう時、二人は自身の罪と過去に対峙する!

巻数二桁台突入となる今巻は、フェジテが直面した最大の危機に対し、学院の生徒たち、講師陣、そして特務分室の面々までが勢揃いした総力戦!
めっちゃ熱い! 文字通り最強の敵を相手にあのキャラやこのキャラが協力して立ち向かう、シリーズでも屈指の熱さでした。
自己犠牲が強すぎる少女・ルミアも今回で大きく成長して、ちょっと好きになってきました。まあシスティーナの魅力にはまだまだ敵わないけどな!


復活した魔人アセロ=イエロに対峙するはおそらくフェジテ最強の布陣。もはや敵が可哀想になってきそうなくらいの戦力だけれど、しかし伝説の魔人は尋常じゃなかった。えええええ、これもう勝てないんじゃね……? という絶望感が襲います。
フェジテが火の海に包まれるまで残された時間は翌日の正午まで! という極限状況の中で、学院と特務分室の一同が手を取り合い魔人を打ち倒すための策を練りあげていく展開、もう最高に燃えますわな。
特にユー……ハーレイ先輩! なんですかアンタ、こんなときだけ格好良いところ見せてくれちゃって、ずるいわーほんとずるいわー。
それから、遂に自分の出自を明かしたルミアへ、クラスメイトたちが返した友情の温かさよ。なんだよ、みんないい奴らばっかりかよ(感涙)。
システィーナは、魔人に対する奥の手の準備のため、グレンとともに迷宮へと潜ります。うんうん、すっかりコンビが板についてきました。
迷宮探索ではめちゃくちゃ頼りになりつつも、詰めが甘いのが惜しいところですけど、しかし失敗の理由が微笑ましすぎるでしょ。可愛いかよ! 可愛いなのかよ!(可愛い)
迷宮でシスティーナを助けるのがグレンの仕事ならば、過去の闇からグレンを助けるのはシスティーナの仕事。お互いに支えあい助けあえる、いい戦友になってきたなあ。


特務分室の指導のもとでフェジテの結界を守る学院の面々。そして敵の隙を突いて空飛ぶ船に乗り込むグレン一行。
学院を舞台にした防衛戦の熱さたるや! 学院長、ハーレイ、ツェスト男爵、シュウザーといった凄腕講師たち。フェジテのために、大切な友人のために立ち上がったウェンディやギイブル、カッシュ、リンといった生徒たち。
そしてやはり格の違いを見せつけるのは、アルベルト、バーナード、クリストフ、おまけにイヴの特務分室メンバー。特にアルベルトさん、巻を追うごとに変態射撃っぷりがパワーアップしてますわ。エグい……。
一方、魔人の前に姿を見せたルミアは、自らに眠る謎の力を駆使して戦いを挑みます。自分の存在を削っていくかのような戦い方が切ない。この子はどれだけ自分のことを痛めつければ気が済むんだ。
たとえ神の如き力があろうとも、1人で戦おうとしちゃいけないのです。だってこんなにも頼りになる、かけがえのない仲間たちがいるのだから。
今回のことをきっかけに、少し前を向けるようになったルミア。システィーナともこれで堂々ライバルということで、三角関係も加速していくか!? 次巻も楽しみでなりません。


ジャティスはおいしい立ち位置だわ。