まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『デュシア・クロニクル 十二騎士団の反逆軍師』感想

ストーリー
西方大陸最強のグラニヤ帝国<黒天騎士団>がひとりシオンは、母国に裏切られ家族を壊された。復讐に燃える少年は「武」に勝る「知」の力を得て、軍師アートルム卿の名を継ぎ強大な帝国に復讐を誓う! そして現在、東部のエルザイム王国は、帝国の脅威に晒されていた。抗戦か、講和か。国論は二つに割れ、王国は内乱の危機にある。抗戦派の旗印ローゼリア王女に仕える女騎士セレインは、海辺に流れ着いたシオンを介抱する。シオンは正体を隠したまま彼女と行動を共にするのだが、この出会いが後に大陸史を塗り替える『デュシア大戦』の幕開けとなるとはまだ知る由もなかった――いま、逆襲の戦記が幕開く!!

帝国最強の騎士団に所属していた少年が、伝説の軍師の薫陶を受けてその後を継ぎ、帝国への復讐を誓うファンタジー戦記。
仮面を脱いでは凄腕騎士として、仮面を被っては天才軍師として、一人二役で知勇の限りを尽くす主人公の無双ぶりにワクワク!
1巻では王国内の内乱までしか描かれていないのだけれど、強大な帝国が敵ということで長いシリーズになりそう。なってほしい。


西方帝国に覇を唱えんとするグラニヤ帝国。その帝国に対して30年来土を付け続ける仮面の軍師・アートルム卿。そのアートルム卿の後を密かに継いだ二代目は、元帝国の少年騎士だった!
いやー、ロマンですよね。元々最強クラスの少年騎士(ロマン)だったのが、天才軍師の教えも受けて(ロマン)、帝国に復讐する(ロマン)、ロマンの大盤振る舞いって感じだ……。
そんな騎士・シオンが王国の女騎士・セレインに拾われて王国のために働くことになるのだけれど、シオンがアートルム卿だということは誰にも秘密。
変装の名人である従者カナンと上手く入れ替わりつつ、すっとぼけて軽薄な(ただし力量は確かな)騎士シオンと、見事な知恵の冴えを見せる仮面の軍師アートルム卿、2人の顔を使い分けて戦いに臨む。なんだよ格好良すぎかよ。
王国の王女様にだけは正体を知られているっていうのもまたいいですね! ツボが分かってるというか、ニクいことしてくれるぜ。


今回描かれたのは王国の内乱。帝国に対しての反攻を唱える王女派と、帝国との講和(という名の半降伏)を唱える宰相派との対立です。
戦記モノだからもちろん帝国とは戦ってもらいたいところだし、裏で帝国とつながって王女を幽閉するようなやり口はとても認められないけれど、宰相もその配下の騎士もあくまで王国のためを思う忠臣。そんな忠臣同士で戦わねばならないところが悲しいところです。
さてアートルム卿ですが、王女を救い出す場面では多少活躍したものの、今回はそこまで軍師らしい働きはしていなかったような。
一方シオンとしては、帝国から来た刺客にして元親友と丁々発止の剣戟を繰り広げました。これもまた悲しい戦いでしたが、祖国を相手取る以上は必然のことでもあります。
着実に迫りくる帝国軍。そして超常の力を発揮する黒天騎士団は残り10人。シオンの知勇はどこまでそれに対抗できるのか。今後の展開が楽しみです。


イラストはゆらんさん。セレインが可愛くそして格好良く描かれていました。
シオンは地味顔だけど、まあどうせ仮面被るからいいやろ(笑)。


セレインも王女もいいけれど、ルルが一番かわいい。